イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』を上演するための雑感を書くブログです。

2016年10月

ワークショップ【狂言】お申し込み受付中です(奥津健太郎)

1月の狂言ワークショップ、日程変更のお知らせが以下にございますのでご確認お願いいたします。


みなさま、こんにちは。狂言の奥津健太郎でございます。

「海神別荘-狂言版-」いよいよ10日後となりましたこのところ毎週夜に全体稽古、その他個別の稽古もあって鏡花漬けです。鏡花の戯曲は言葉がとても美しいので、日常でもつい口ずさんでいたりします。その美しさの一端でもお伝えできればと思って作ったのがこのチラシです。

海神別荘狂言版チラシ表S
海神別荘狂言版チラシ裏S


「海神別荘」の準備と同時並行で進んでいるのが、てんらいの様々なワークショップ。第1回ワークショップは能と狂言合同で10月6日に開催しました。能面や狂言面を色々ご覧いただいたり、謡を謡ったりしましたね。大勢のご参加ありがとうございます


shoujyou

ご紹介した能面のひとつ、酒に酔った「猩々」です


そして、いよいよ11月1日から狂言ワークショップ始まります狂言は笑いの要素が強いですが、実はその基本は大真面目に「謡と舞」。「謡」を応用するとコトバになり、「舞」を応用するとシグサになります。狂言の演技の幅の広さを体験し、単発のワークショップではお伝えしきれない狂言の魅力を、ご一緒に探っていきたいと思っています

という内容ですので、基本的に月1回、来年3月までの継続参加をお願いします。11月1日まで新規お申し込みを受付中ですので、ぜひご参加ください。

ご参加ご希望の方は、 kyogen-kentaro@k00.itscom.net までお知らせください。お申し込みお待ちしています。

<内容予定>

会場:特記ない場合は「めぐろパーシモンホール リハーサル室」です。
http://www.persimmon.or.jp/know/hall_other.html

第1回 「能と狂言の違い」(能・狂言合同) 10月6日(木)19:00~21:00(終了) 
第2回 「狂言の発声1(謡とセリフ)」 11月1日(火)19:00~21:00(終了)
第3回 「狂言の発声2(呼吸と間)」 12月7日(水)19:00~21:00(終了)
第4回 「狂言の動き1(基本編・舞とシグサ)」 1月12日(木)19:00~21:00(終了)
第5回 「狂言の動き2(応用編・イナンナ地獄の門番ネティになる!)」 2月8日(水)19:00~21:00
第6回 「前回までの復習/着物と装束の着付」 2月22日(水)19:00~21:00
第7回 「最終回/総復習とミニ発表」 3月9日(木)19:00~21:00 (第7回のみセルリアンタワー能楽堂)

参加費1回2,000円を基準にお賽銭
用意するもの 白足袋・扇(扇の貸し出しもございます)

ご参加お待ちしています(奥津健太郎)

「海神別荘~狂言版~」の稽古進んでいます!(奥津健太郎)

みなさま、こんにちは。狂言の奥津健太郎です。

「海神別荘~狂言版~」、公演まで2週間とちょっとになりました。稽古が進むにつれて舞台が具体的になってきています。

昨日は実際の会場「北とぴあ・つつじホール」での稽古。出演者がそれぞれ舞台の感触を確かめました。少しだけですが稽古風景です

20161011


入道鮫が登場するシーンの台詞

「キタキタキタキタニュウドウザメダ。キタキタキタキタニュウドウザメダ。キタキタキタキタニュウドウザメダ。キタキタキタキタニュウドウザメダ。キタキタキタキタニュウドウザメダ」(来た来た来た来た入道鮫だ!)

は、コロスのメンバーが本当に舌を噛みそうです。公演の度に難易度格段に上がってますヲノさんの音楽も重なり、実験道場のみなさんのアクロバティックな動きも大盛り上がり

後半は公子と美女が思いがけない展開に・・・。

舞台を作っていると、この段階で演者から色々な提案が出てくるのがとてもおもしろいです。ぜひ当日の舞台をおたのしみに

(奥津健太郎)

『海神別荘』の物語(1)

『海神別荘』のストーリー(1)

海神別荘狂言版チラシ表S

▼『海神別荘』狂言版

今月(10月)28日(金)に上演する『海神別荘』の物語を少しずつ書いていきます。

『海神別荘』は泉鏡花の戯曲(演劇の台本)の最高傑作のひとつといわれています。確かに芥川龍之介をはじめ多くの人が大絶賛をしているのですが、しかし泉鏡花の生前には一度も上演されなかったという幻の戯曲でした。 

それは舞台設定が海底の宮殿であったり、この世のものがひとりも登場しなかったりと、上演が非常に難しい要因がさまざまあるからです。

初演は泉鏡花が亡くなって15年以上も経った昭和30年(1955年)。新派によって上演されましたが、それは鏡花の台本をかなり変えたものでした。

現在では玉三郎が泉鏡花の台本をほぼそのままに上演しており(さすが!)、シネマ歌舞伎でもその上演を観ることができます。

私たちも今年(2016年)3月に、泉鏡花の台本をほとんどそのままに(一部カット)、しかし能の形式を使って上演をしました。

で、今回の上演は、その「狂言パロディ」版です。

狂言には、能をパロディにした作品が多くあります。たとえば六条御息所(みやすどころ)の生霊が光源氏の正妻である葵上(あおいのうえ)を呪い殺そうとするのを、横川(よかわ)の小聖(こひじり)という聖(ひじり)が守るという能『葵上』があります。

このパロディの狂言『梟(ふくろう)山伏』では調伏される相手は六条御息所ではなくフクロウの精霊。同じく『くさびら(茸、菌)』ではキノコの精霊たち。これがいっぱい出るのです。舞台狭しとチョコチョコ歩き回るキノコの精霊にお客さは大笑い。

まじめな人が聞いたら「源氏物語に依拠した能『葵上』のパロディをするなんて、なんて不謹慎な!」と怒ってしまいそうな設定ですが、これが能と狂言との関係なのです。しかも調伏は失敗して、山伏は最後には笑われて終わります。

どんな深刻な事態でも、それを遠い将来から見れば笑いになる。悲劇の裏には喜劇がある。

悲劇と喜劇、悲しみと喜びは表裏、すなわち「つがい(番)」。だから「組」ですることが大事、というわけで「番組」で上演するのが能と狂言なのです。

そんな能と狂言の関係を引き継いで、今回は泉鏡花の『海神別荘』を狂言風に演じてしまおうという趣向です。でも、実は泉鏡花の台本は一部カットはしますが(そして狂言回しの部分は加えますが)書き換えたりはしません

さて、それでどうやって狂言版になるのでしょうか。それは観てのお楽しみに~。

▼銀座のカフェーからはじまります
 
舞台は大正時代の銀座のカフェーから始まります(この部分はオリジナルです)。

ぐでんぐでんに酔っ払った泉鏡花先生。先生を介抱する馴染みの芸者

泉鏡花を演じるのは文芸評論家の東雅夫。実は東さんには最初、解説をお願いしたのですが、そのあまりの美声に「せっかくなので出演してください」とお願いし、泉鏡花役として出演願ったのです。

そして馴染みの芸者はご存知、玉川奈々福(浪曲師)です。 

銀座のカフェーの給仕は、芝居もできるダンスユニット「実験道場」の面々です。 

さて、先日(10月4日)の寺子屋では「実験道場」の面々がダンスを披露してくれました。ちなみにメンバーのひとり、りゅうたはギネス保持者で、ちょうどこの寺子屋の日にギネスの自己記録を更新しました!


というわけで、寺子屋での実験道場の面々のダンスの一部をご覧いただきましょう。はじめて桧舞台の上を足袋で踊ったので、いつものダンスとはちょっと違っていますが、しかしそれをうまく利用しているところはさすがです。


そう、泉鏡花の『海神別荘』なのにこんなダンスが披露されます。

▼鏡花先生、泥酔の理由

さて、ぐでんぐでんに酔っ払った鏡花先生。その理由は『海神別荘』の上演がまたしても中止になったからです。

そのことで芸者にからむ鏡花先生。でも、芸者としてはどんな話なのかわからなければ慰めようもないし、コメントのしようもない。

「よし、それならば」と鏡花先生は『海神別荘』の朗読を始めるのです。

…ということで、物語がはじまります。

<続く>

●ちなみに次の寺子屋は10月13日(木)です。
場所:東江寺(広尾)
   東京都渋谷区広尾5-1-21
受講料:お賽銭
10月13日(木)19時~
飛び込みも歓迎ですが、参加お決まりの方は info@watowa.net へメールをお願いします

 

美女の面(奥津健太郎)

みなさま、こんにちは。狂言の奥津健太郎です。

みなさま、「海神別荘~狂言版~」のお申し込みありがとうございます!ご検討中の方、ぜひいらしてくださいね

「狂言版」の演出はみんなびっくりなんと、私が美女の役なのですが、「乙(おと)」という狂言の面を使わせていただきます。いわゆる「おかめ」の面に近いのですが、「なんでおかめが美女?」とツッコミを入れたくなりますよね。

泉鏡花の原作では、陸の上の美女が海底のカッコいい公子の御殿に輿入れする設定。狂言版では、陸の上ではおかめですが、海底ではものすごい美女として待っている、という設定です。

脚色の安田登は「美女って誰が決めるのか。地上の美と、海底の美とは果たして同じなのか。泉鏡花の台本はそのままに解釈だけをひっくり返して上演をします。」と書いています。

6月の初上演では、そのギャップがなかなか埋まらず苦しんだのですが、10月公演ではもっと踏み込んで舞台を作っていきます。6月の舞台をご覧いただいたある方は「笑ったんだけど、なんだか切なくて、でも綺麗で、深かったです」と感想をくださいました。

美女の面、写真でお見せしたいのですが、当日までのおたのしみです。有名な面の写しで、狂言面の暖かさに能面の冷たさを加えたような表情です。普通の狂言では使いづらいかもしれませんが、「海神別荘~狂言版~」の美女にはピッタリになるといいなあと思っています。公演まで毎日面と対話しつつ、仲良くなっていきます。どうぞおたのしみに

今晩はこれから第1回目の本格稽古です。行ってきます

公演のお申し込みはこちらのサイトでも受け付けています。ご来場、心よりお待ちしております。

(奥津健太郎)