イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』を上演するための雑感を書くブログです。

2015年07月

シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』

シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』
講師 髙井啓介(たかい・けいすけ)
参加希望・お問い合わせは→info@watowa.net(和と輪)へ

【概要】
『イナンナの冥界下り』を読みながらシュメール語を学んでしまおうという講座です。

シュメール語はもちろん、古代の言語など学んだこともない、という一般の方向けの講座です。

文字で書かれた言語としては、現在確認し得る最古の言語であるシュメール語。楔形文字で書かれています。もっとも古いからこそ、もっとも難しいと思いがちです。しかし、シュメール語は、あらゆる古代語の中で、日本人にはもっとも学びやすい言語なのです。世界最古の文字と言語を、『イナンナの冥界下り』を読みながら、そして実際に粘土板(タブレット)に楔形文字を刻んでみたりしながら、学んでいこうというワークショップです。

ワークショップは以下のように進めてみたいと思います。

『イナンナの冥界下り』のシュメール語テキストを題材として、舞台を楽しむのに重要な場面を選んで、読んでみることにします。

一回毎に、物語のキャラクターに一人ずつ登場してもらいその人物像に迫ります。登場人物に誘われながら、物語のなかをわたしたちも旅してみましょう。それぞれのキャラクターを演者がどのように演じているのかも確認します。シュメール語で物語を読んでいくうちに、舞台の進行もより深くわかるようになれば良いと思っています。

【予定】
第1回:シュメールに親しむ:文字・ことば・神々・冥界
第2回:イナンナと一緒に旅立つ
第3回:ニンシュブルと一緒に嘆く 
第4回:ネティと一緒にイナンナを迎える
第5回:エレシュキガルと一緒に怒る
第6回:クルガラ、ガラトゥルと一緒に跳ねる
第7回:再び立ち上がったイナンナに問いかける 

日時・会場は改めてお知らせいたします。

【備考】
受講料:2,000円/各回
(これは基準金額で実際にはお賽銭方式になりますので、お賽銭箱に2,000円を基準にしてお好きな金額をお入れください) 
『イナンナの冥界下り』のシュメール語台本、単語帳、文法ノート、油粘土、ペンをお配りします(以上合わせて500円)。

開講は9月になります。日程に関してはしばらくお待ちください(月曜日の19時~の予定)。

参考:高井先生のシュメール語のツイートをまとめたものです→こちらをどうぞ 

玉川奈々福の”ガチンコ”浪曲講座!

イナンナWSの一環で催す浪曲講座です。ふるってご参加くださいませーー!


玉川奈々福のガチンコ

浪曲講座(全七回)

―日本の「語り」のテクを身に付ける―

浪曲の「啖呵」の中に隠された、人の心を動かす“語り”のテクニック。

浪曲の、「節」の中に隠された、人を気持ちよくさせる“声”のテクニック。

この際、惜しみなく伝授いたしましょう。そして、7回の講座で、短い浪曲を覚えて(!!!)できるようになって頂きます。ますます浪曲が面白くなること請け合い!

一部参加、途中からの参加も受け付けます。

 

第一回 啖呵芸その1 ああなりましてこうなって……

第二回 啖呵芸その2 「カミシモ」というテクニック

第三回 啖呵芸その3 ちょうど時間となりました。

第四回 節その1 なにがなにまでなんとやら。三味線にのる声、まずはきっかけ節

第五回 節その2 きっかけからアイノコ節 リズムにのってみる

第六回 三味線必殺テク 語りに合わせる三味線芸を学ぶ

第七回 さあ、あなたも5分浪曲を演じましょう!

 

講師:玉川奈々福 場所:カメリアプラザ第一和室

(東京都江東区亀戸2-19-1カメリアプラザ6F 総武線亀戸駅より徒歩3分)

第一回 8月28日(金)18時半開場19時より

第二回 9月30日(水)18時半開場19時より

第三回  10月29日(木)18時半開場19時より

以後2月まで毎月一回平日夜開催。順次日程決定いたします。

 受講料2000(別途教材費:CDと台本1000or音源ダウンロードと台本:500円) 

予約:プロジェクト福太郎 090-7001-6867 tamamiho55@yahoo.co.jp

能楽ワークショップに関して

yasuda
(安田 登)

昨日はワークショップ全般に関してお知らせをしましたが、能楽ワークショップについて、もうちょっと書きますね。

まずは受講料ですが、これは基準受講料を「2,000円」にしますが、しかし寺子屋と同じくお賽銭方式にしますので、2,000円を基準にお賽銭箱(かお賽銭袋)に適当にお入れください(というか、入れなくてもかまいません)。

2時間の内容は、たとえば呼吸の回ですと、だいたい以下のようになります。

・まずは謡を謡ってみる。『鶴亀』
・「呼吸」についての言葉からの説明(漢字や和語やヘブライ語やギリシャ語や…)
・「呼吸」についての解剖学的な説明
・「呼吸」についてのエクササイズ(1人でするもの、数人でするもの)
 ※家でできる方法も紹介します。
・発声のエクササイズ(いわゆる発声方法ではありませんが)
・もう一度、謡『鶴亀』を謡ってみる

<ここら辺で休憩?>

・まずは、自分のイメージする「すり足」をやってみる
・能のすり足の基本をお話する
・解剖学的な話もちょっとする
・能のすり足を何回か稽古する
 ※あとは家でも稽古する

・シュメール語を謡で謡ってみる

…みたいな感じになると思います。

内容の詳細は参加される方によって変わります。覚悟を決めた方が多いと、かなりディープな内容になりますし、カルチャーセンターくらいのノリで、という方が多ければ軽い内容になります。

日時は会場と安田の都合で決めておりますので、もうしばらくお待ちください。

参加ご希望の方は「info@watowa.net」にメールをいただけましたら決まり次第、お知らせいたします。

「能楽の謡と動き~神聖なる身体に目覚める~」
講師安田 登(やすだ・のぼる)
連絡先

info@watowa.net(和と輪)

概要

今回の公演の<核>となるのは、能と狂言、すなわち「能楽」です。能楽は650年以上も、一度も途切れることがなく続けられているエンターテインメントとして、世界で唯一の芸能です。しかし今回のような古代の神話を演じるにも最適な「神聖祝祭劇」なのです。

能の動きを解剖学的な視点からも眺め、さらには自分の身体を使って謡い舞ってみることによって、なぜそれが「神聖祝祭劇」たり得るのか、自分の身体に隠れている神聖さとは何か、可能性とは何か、そういうことを考えていきたいと思います。

今年はおもに「呼吸」と「すり足」を中心にアプローチをしていく予定です。

予定第1回:呼吸(1)和の呼吸の基本、立つ、『鶴亀』を謡う(1)
第2回:呼吸(2)呼吸筋をゆるめる、すり足の基本、『鶴亀』を謡う(2)
第3回:呼吸(3)呼吸の深層筋へのアプローチ、すり足の基本、『鶴亀』を謡う(3)
第4回:大腰筋の活性化、すり足を深める、『鶴亀』を謡う(4)
第5回:足裏の覚醒、すり足をより深める、『土蜘蛛』を謡う(1)
第6回:大腰筋への別アプローチ、すり足をさらに深める、『土蜘蛛』を謡う(2)
第7回:上半身と下半身をつなげる、『土蜘蛛』を謡う(3)
備考お持ちの方は「足袋」「扇」。ない方は購入の必要はありません。

ワークショップの内容

2015年度、てんらいワークショップの内容をお知らせします。

時 間:およそ2時間(日時、会場、開始時間は各連絡先にお問い合わせください)
      8月から開始予定(シュメール語は9月から)
受講料:2,000円(講座によっては、これ以下のこともあります。これ以上はありません)
その他の費用:講座によってかかる場合があります。


<講座一覧>2015年度は以下のワークショップを開催します
・能楽:「能楽の謡と動き~神聖なる身体に目覚める~」

・ダンス:「ダンスと柔らかいからだ~太古の動きを音から探る~」

・声楽:「発声講座 心と身体を結び、時空を超える声を!ー合わせて7000年前の歌とともに!ー」

・浪曲:奈々福のガチンコ浪曲講座forイナンナの冥界くだり

・シュメール語:シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』

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「能楽の謡と動き~神聖なる身体に目覚める~」
講師 安田 登(やすだ・のぼる)
連絡先

info@watowa.net(和と輪)

概要

今回の公演の<核>となるのは、能と狂言、すなわち「能楽」です。能楽は650年以上も、一度も途切れることがなく続けられているエンターテインメントとして、世界で唯一の芸能です。しかし今回のような古代の神話を演じるにも最適な「神聖祝祭劇」なのです。

能の動きを解剖学的な視点からも眺め、さらには自分の身体を使って謡い舞ってみることによって、なぜそれが「神聖祝祭劇」たり得るのか、自分の身体に隠れている神聖さとは何か、可能性とは何か、そういうことを考えていきたいと思います。

今年はおもに「呼吸」と「すり足」を中心にアプローチをしていく予定です。

予定 第1回:呼吸(1)和の呼吸の基本、立つ、『鶴亀』を謡う(1)
第2回:呼吸(2)呼吸筋をゆるめる、すり足の基本、『鶴亀』を謡う(2)
第3回:呼吸(3)呼吸の深層筋へのアプローチ、すり足の基本、『鶴亀』を謡う(3)
第4回:大腰筋の活性化、すり足を深める、『鶴亀』を謡う(4)
第5回:足裏の覚醒、すり足をより深める、『土蜘蛛』を謡う(1)
第6回:大腰筋への別アプローチ、すり足をさらに深める、『土蜘蛛』を謡う(2)
第7回:上半身と下半身をつなげる、『土蜘蛛』を謡う(3)
備考 お持ちの方は「足袋」「扇」。ない方は購入の必要はありません。


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「ダンスと柔らかいからだ~太古の動きを音から探る~」
講師 蜜月稀葵(みづき・まれあ)
連絡先

camale.info@gmail.com
080 7952 6709(カマレホウジュ)

概要

イナンナの時代には、まだ「心」は確立されいませんでした。しかし、言葉も音もダンスもあった。そんな時代の「踊る身体」は、神と語るための身体だったに違いありません。本ワークショップではダンスの基本を学ぶとともに、自然の音やモノを叩いた音と共鳴する身体を探求していきます。身体を中立に置いて、太鼓の音や古代の言語を媒介にして、古代と現代との共振を試みたり、身体を楽器のように扱って、見えない音を出してみたりしながら「器としての身体」を意識してみたいと思っています。

予定 第1回:呼吸から動く身体。吊られる身体。落ちる身体。
第2回:身体をしなやかに使う体操 part 1 下半身、背骨、骨盤、踵
第3回:身体をしなやかに使う体操 part 2 上半身、背骨、肋骨、肩、肩甲骨
第4回:身体をしなやかに使う part 3 連続した体操から簡単なダンスへ
第5回:身体のパーツを動かすpart 1(ベリーダンスのテクニックを使って)
第6回:身体のパーツを動かすpart 2(ベリーダンスのテクニックを使って)
第7回:ダンサーが毎日やっている稽古を簡単バージョンで体験。ダンサーになった気分でどうぞ。
備考 動きやすい服装、靴下、タオル、水

 


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「発声講座 心と身体を結び、時空を超える声を!
      ー合わせて7000年前の歌とともに!ー」

講師 香西克章(こうざい・かつあき)
連絡先

katsuaki-1963-g.gould@i.softbank.jp

概要

本当に、よく響く音量・音質を持つ声は、Requiem(鎮魂歌=礼楽) のように、死者の世界にも届く声でしょう。人と人、人と世界を結ぶ声も、私達の心と身体のつながりの中からやって来ます!
心と身体、身体の部分と全体を色々なボディーワークの手法を用い、つなげることで、深層からの声を7回の講座で導こうとするものです!
1500年前のグレゴリオ聖歌と5500年前のシュメール語の歌 合わせて7000年前の歌を通して学びます!

予定 第一回:身体を知り、身体をゆるめ、呼吸を取り戻し、本来の身体を手に入れよう!
第二回:頭 首 (目 鼻 口 耳 顎 舌 喉) の使い方を考えます。
第三回:体幹(胸 背中 腰 肺 横隔膜 骨盤底筋群 腹筋群 大腰筋などに、焦点をあてます。
第四回:腕の使い方を考えます。(腕の筋肉は、喉の使い方に関わりがあります)
第五回:足の使い方を考えます。足は、横隔膜と繋がり、呼吸に深いつながりがあります。)
第六回:第一回から第五回までの部分と全体性を考え、もう一度呼吸に帰ります。
第七回:総まとめ!
備考 特になし

 

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奈々福のガチンコ浪曲講座forイナンナの冥界くだり

――語り芸の王者・浪曲に隠された数々のテクニックをこの際、伝授――
講師 玉川奈々福(たまがわ・ななふく)
連絡先

tamamiho55@yahoo.co.jp

概要

世界最古の神話『イナンナの冥界くだり』。いまから5500年前、「論理」というものの生まれる以前の神話を上演するにあたっては、現存する最古の演劇であり、古代の儀礼的要素を色濃く残す能楽、またその他の日本の古典芸能を軸に展開します。その「伝統」に隠された技法にせまる「イナンナWS」の一環として、浪曲の身体技法を伝授いたします!

予定 第一回:啖呵芸その1 ああなりましてこうなって……
第二回:啖呵芸その2 「カミシモ」というテクニック
第三回:啖呵芸その3 ちょうど時間となりました。
第四回:節その1 なにがなにまでなんとやら。三味線に載る声をつくる。まずはきっかけ節
第五回:節その2 きっかけからアイノコ節 リズムにのってみる
第六回:三味線必殺テク 語りに合わせる三味線芸を学ぶ
第七回:さあ、あなたも5分浪曲を演じましょう!
備考 カメリアホール会議室or和室、月一回奈々福講座は全七回!

 

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シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』

講師 高井啓介(たかい・けいすけ)
連絡先

info@watowa.net(和と輪)

概要

『イナンナの冥界下り』を読みながらシュメール語を学んでしまおうという講座です。文字で書かれた言語としては、現在確認し得る最古の言語であるシュメール語。楔形文字で書かれているために、「読もうとしたことも、学ぼうとしたこともない」という人がほとんどでしょう。もっとも古いからこそ、もっとも難しいと思いがちです。しかし、シュメール語は、あらゆる古代語の中で、日本人にはもっとも学びやすい言語なのです。世界最古の文字言語を『イナンナの冥界下り』を読みながら学んでしまおうというワークショップです。

実際に粘土板(タブレット)に楔形文字を刻んでみたりもします。

予定 詳細は後日!
備考  特になし

2015年度ワークショップの開催

▼ワークショップを開催します
現存する最古の神話であるシュメールの『イナンナの冥界下り』を、日本の古典芸能の手法を使い、日本語とシュメール語で国内外で上演するという「イナンナプロジェクト」がいよいよ始動しました。

本プロジェクトは、東京での小公演やさまざまなワークショップを重ねる過程で観客とともに文化的な理解を深め、最終的にシュメール遺物を数多く所蔵する、大英博物館(イギリス)、ルーブル美術館(フランス)、および、インドヨーロッパ語族の古い形の言語が残っていて非常に親日的でもあるリトアニアで上演しようというプロジェクトです。

イナンナプロジェクトのもうひとつの柱は、さまざまなワークショップです。

今回の上演では、「能・狂言」、「浪曲」という日本の古典芸能が中心になりますが、それ以外にも「声楽」や「ダンス」という西洋の手法も取り入れております。

これらが、なぜ『イナンナの冥界下り』に必要なのか、それを身体的に理解していただくために、さまざまなワークショップを開催します。

また、シュメール語やシュメール神話の理解を深めるために「シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』」の講座も開催いたします。

どうぞふるってご参加ください。

▼ワークショップの一覧

今年は以下の5つのワークショップを開催します。各ワークショップは原則1回/月。開催日・時間は講師によって異なります。

●「能楽の謡と動き~神聖なる身体に目覚める~」
 講師:安田 登(やすだ・のぼる)

●「ダンスと柔らかいからだ~太古の動きを音から探る~」
 講師:蜜月稀葵(みづき・まれあ)

●「発声講座  心と身体を結び、時空を超える声を!ー合わせて7000年前の歌とともに!ー」
 講師:香西克章(こうざい・かつあき)

●奈々福のガチンコ浪曲講座forイナンナの冥界くだり
――語り芸の王者・浪曲に隠された数々のテクニックをこの際、伝授――
 講師:玉川奈々福(たまがわ・ななふく)

●シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』
 講師:高井啓介(たかい・けいすけ)

次のページでワークショップの詳細をお知らせします。 
 

冥界について(3)オルペウスの冥界下り

yasuda
(安田登)

▼ギリシャ語のオルペウスの冥界下り

『古事記』の冥界下りに似ているのが、ギリシャ神話のオルペウスの冥界下りです。

竪琴と歌の名手、オルペウス。彼は、毒蛇に噛まれた死んでしまった妻をもう一度生き返らせるために冥界に行くのです…って、似てるでしょ。『古事記』も、死んでしまった妻をこの世に戻すために冥界に行きます。

ただし、この神話、ギリシャ語で書かれているものはとても簡単なものしかありません。以下がそれです。

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カリオペーとオイアグロスから、しかし名義上はアポローンから、へーラクレースが殺したリノスおよび歌によって木石を動かした吟唱詩人オルぺウスが生れた。オルべウスはその妻エゥリュディケーが蛇に噛まれてなくなった時に、彼女を連れ戻そうと思って冥府に降り、彼女を地上にかえすようにとプルートーンを説き伏せた。プルートーンはオルぺウスが自分の家に着くまで途上で後を振りむかないという条件で、そうしようと約束した。しかし、彼は約を破って振り返り、妻を眺めたので、彼女は再び帰ってしまった。

オルべウスはまたディオニューソスの秘教(ミュステーリア)を発見し、狂乱女(マイナデス)たちに引き裂かれてピエリアーに葬られた。 『ギリシャ神話(アポロドーロス:高津春繁訳)』1C~2C
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ね、あっさりしているでしょ。それに1世紀から2世紀くらいって新しすぎです。

ギリシャ神話をギリシャ語で読もうとすると、こういう問題にぶつかります。『神統記(ヘーシオドス)』も、あっさりしすぎているし…。むしろラテン語で書かれたものが方が古かったりします。

▼ラテン語で書かれたオルペウスの冥界下り

 …ということでラテン語ではオウィディウス( 紀元前43年3月20日 - 紀元17年)が書いた『変身物語』の第十巻にオルペウスの冥界下りの話が載っています。

では、その物語を紹介しましょう(以下、逐語訳ではありません)。

オルペウスの新妻、エウリュディケは草原で蛇に踵をかまれて死んでしまいました。オルペウスは妻をいたんで地上で十分泣きつくすと、亡霊たちの国、黄泉の国に降りていきました。

亡霊たちの群がるなかを通りぬけて「悲しみの国の支配者・亡霊たちの王」のもとへと進み、竪琴を弾き、歌います。

妻を探しにここまで参りました。
一匹の毒蛇のために、まだ年若い妻は死んでしまいました。
 
あなたが治めるこの冥界こそ、わたしたちの終の棲家。
妻もまた、墓に入るにふさわしい年齢になれば、あなたがたの配下に入ることは必定。
 
どうか妻にお恵みを垂れ、
それまでの間、もう一度人生を楽しませてください。
 
それがかなわぬならば、
わたしも地上に帰らぬ決心をしております。
わたしたちがふたりとも死ぬのを見てお楽しみくださればいい

亡霊たちも、この歌を聞いてみな涙を流した。タンタルスも水を追いもとめることをやめ、イクシオンの火の車はとまり、はげ鷹どもは生贄の肝臓を引き裂くことをやめ、ベルスの孫娘たちは水甕を捨て、シシュプスも転がす岩の上に腰をおろし、冷徹なるエウメニデスはじめて頬を涙でぬらした。

冥府の王妃も王者も、ついにオルペウスの願いを退けることはできず、傷のために足をひきずる若妻エウリュディケをオルペウスに渡し、「アウェルヌスの谷を出るまではけっして後ろをふりかえらない」という約束をした。

ふたりは、濃い霧におおわれた、暗い、急な坂道を沈黙のまま上って行きました。が、オルペウスは妻が遅れていはすまいかと心配になり、つい後ろを振り返ってしまったのです。

すると、妻は、たちまち後ろへひきもどされ、ふたたび死の国に連れ戻されてしまうのです。

▼少年愛、ここに始まる

アポロドーロス(『ギリシャ神話』)によれば、冥界から戻ったオルべウスはディオニューソスの秘教(ミュステーリア)を発見したことによって、狂乱女(マイナデス)たちに引き裂かれて死んだと書かれていますが、ラテン語版(『変身物語』オウィディウス)ではちょっと違います。

彼は「女のために、自分はこんなに不幸になったんだ」と思い、すべての女性との交渉を断ってしまったのです。そして彼は少年を愛し始め、「まだ大人にならぬうちに人生の春と最初の花とを摘むことを身をもって教えたのは、じつにオルペウスその人だったのである」となるのです。

少年愛の始祖こそオルペウスです。

ちなみに、この故に、やはりディオニューソスの乙女たち(バッカスの神女)に殺されたとも言われています。

冥界について(2)古事記の冥界

yasuda
(安田登)

▼イザナミ死す

今回はまず『古事記』のお話をします(ご存知の方は今回は飛ばしてください)。
 
『古事記』の冥界は「黄泉(よみ)」と呼ばれます。この「黄泉」という言葉がちょっと問題なのですが、それについては、またこんどお話することにして、まずは物語を見ておきましょう。

このお話に登場する神様は、日本の国土や、さまざまな神々を生んだ伊邪那岐(いざなぎ)の命(みこと)と、その妻である伊邪那美(いざなみ)の命です。

※どっちがどっちかわからなくなるので、男性の伊邪那岐で、女性の伊邪那美はにしますね。

この神話は、あとでいろいろとお話をする材料になりますので、以下、文章がちょっと変になるのを覚悟の上で、特に前半をなるべく原文に近い形で現代語に直してみます。

妻、伊邪那美の神は、火の神を生んだことによって「神避(かむさ)」ってしまいました。「神避(かむざ)る」というのは、神様が亡くなるときの言葉ですが、これもあとで触れますが、古代日本語の「しぬ」と「死」は別の言葉なので、正確に言えば「神避(かむざ)る」と「死ぬ」はちょっと違います。

この「神」についても書きたいのですが、話が混乱するのでまた~。

それはともかく、亡くなってしまった妻を、伊邪那岐の命は比婆の山(出雲の国と伯伎の国の堺)に葬りました。この「境」というのもあとで触れますね。

▼妻に会いに冥界に行く:「見るな」の禁忌

さて、妻を葬った伊邪那岐の命は、それでも妻にもう一度会いたいと思い、黄泉の国まで追って行きます。そして殿の騰戸(さしど)で妻と会い、戻ってくるようにと次のように言います。

「愛しい我が妻よ。お前とともに作っている国はまだ作り終えていない。だから還るべきだ」

妻は答えます。

「ああ、もっと早くいらっしゃらなかったことが悔しい。私はすでに黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。しかし、愛しい我が命(みこと)がいらっしったことはおそれおおいことです。だから還ろうと思うのですが、しばらく黄泉神と相談しましょう。そのあいだ私のことを見ないでください

そのように言ったあと妻は「殿の内」に入って行ったのですが、あまりにそれが長い間だったので、夫である伊邪那岐待ち難(かね)た

そこで、左のみずらに刺していた「ゆつつま(湯津津間)」の男柱一つ取り、それに火を灯して中に入って妻、伊邪那美の姿を見ると、その体には無数の蛆虫が、ころころと音を立ててたかっていた。

そして、体中には八体の「雷(いかづち)」がいた。

と、ここでひとつ注意。現代人の私たちは「雷(いかづち)=雷さま」というと、あのトラのパンツを履いた、ちょっとかわいい奴を想像してしまいますが、それは違います。

「いかづち」の「いか」は、いかめしいというときの「いか」で漢字を当てれば「威」や「猛」、すなわち「恐ろしく、かつ勢威のある」という意味。そして「ち」は、大蛇の「ち」と同じく「蠢く霊力」。すなわち「いかづち」は「威つ霊」、おそろしい悪霊なのです。

詳細を記せば頭には大雷、胸には火の雷、腹に黒雷、女陰には拆雷、左手には若雷、右手には土雷、左足には鳴雷、右足には伏雷と合わせて八柱の雷神が出現していた。

▼逃げるイナザギ、追うイザナミ 

それを見た伊邪那岐命は恐ろしくなって逃げます。

その妻、伊邪那美命は「よくも私に恥を見せたな」といい、黄泉醜女(よもつしこめ)たちに夫を追わせた。

黄泉醜女…よくわからないけど、なんか怖いですね。 

伊邪那岐命は、御鬘(みかづら)を取って投げると、そこから蒲(えびかづら)の実が生った。どうもこれ、ブドウらしいです。

黄泉醜女たちが、それを食べている間に逃げる。

と、また追って来る。今度は右の御みずら(美豆良)に刺していた「ゆつつま(湯津津間)櫛」を一本一本取って投げると、そこから笋(たけのこ)が生え、やはり黄泉醜女たちが、それを食べている間に逃げて行った。

妻、伊邪那美は、今度は例の八柱の雷神に、千五百もの黄泉の国の軍団を率いさせて追わせた(ひとりに千五百って卑怯…)。

逃げる伊邪那岐命は、十拳(とつか)の剣を後ろに振りながら逃げ、とうとう黄比良坂の坂本にまで至った。そこには桃の実が三つ生えていて、伊邪那岐命がその三つの桃を投げると、八柱の雷神も、千五百の黄泉軍団も逃げ返った。

この後ろに振りながら逃げるのも面白いですが、この話もしていくと話が混乱するので、またいつか~。

が、最後には伊邪那美命が自ら追ってきた。

夫、伊邪那岐命「千引の石(いわ)」を黄比良坂に引き塞えぎった。その石を間に置いて、夫・妻がおのおの相向かい「事戸(ことど)」を渡す。

まず、妻、伊邪那美命

「愛しい我が夫の命よ、あなたがこのようにするならば、あなたの国の人草を一日に千頭、絞り殺しましょう」

こわ…。それに対して、夫、伊邪那岐命

「愛しい我が妻の命よ。お前がそのようにするならば、私は一日に千五百の産屋を立てよう(子を産もう)」

ここから一日に必ず千人の人が死に、一日に必ず千五百人が生まれるようになった。

そして、妻の伊邪那美神命を「黄津大神」、また「道敷(ちしき)の大神」と名づけた。また、間の石を「道反(ちがへし)の大神」、また「塞(さや)ります黄戸の大神」と名づけた。この黄比良坂は、今の出雲国の「いふや(伊賦夜)坂」といわれている。

▼この物語でチェックしておきたいこと

この神話は、いろいろと面白いのですが、まずは以下の点をおさえておきましょう。これらについては、あとで色々考えていきます。

・妻を葬ったのが、出雲の国と伯伎の国の堺である比婆の「山」

・黄泉の食べ物を食べてしまったら、もう戻れない

・「見るな」の禁忌を破った理由が「待つことが難しかった」から

・妻の本当の姿を見せてくれたのは「櫛の霊力」

・それで見たのは、蛆がたかり、悪霊に囲まれた妻の姿

櫛の霊力桃の霊力で追っ手から逃れる

・人間の生と死の起源が語られる

・冥界とこの世との境界が黄比良坂と呼ばれる

…では、次回は『オルフェウス』の冥界下りの物語を見ていきましょう。
 

冥界について(1)イントロ

yasuda
(安田登)

『イナンナの冥界下り』は、『アン・ガル・タ・キ・ガル・シェ(大いなる天から大いなる地へ)』というのが正式名称です。

で、『イナンナの冥界下り』というのは、オクスフォードのシュメール語文学の総合サイト「ETCSL」の英訳「Inana's descent to the nether world」を和訳したものです。

でも、本当はイナンナの「冥界(nether world)」も「下り(descent)」も、僕たちがイメージするそれとはちょっと違うので、それについていろいろ書いていきますね。

▼世界中にある冥界下り

『イナンナの冥界下り』を上演したいと思ったのは、那須の二期倶楽部で毎年開かれている「山のシューレ」でふたつの「冥界下り」を上演したあとでした。

最初は「黄泉の通い道-『古事記』と漱石の見た夢」という作品を上演しました。これは『古事記』の中から「イザナギの冥界下り」と夏目漱石の『夢十夜(第三夜)』という、生と死の世界を行き来するふたつの物語を、「夢の中の夢」の物語として新たに編み直して作った作品です。

火の神を産み、その性器を焼かれて死んだ妻イザナミを追って、夫であるイザナギが黄泉の国に尋ねていくという『古事記』を、なるべく原文の言葉そのまま(といっても本居宣長の書き下し文ですが)に上演しました。

次に上演したのはギリシャ神話のオルフェウスの冥界下りです。竪琴と歌の名手であるオルフェウスは、蛇に噛まれて死んだ新妻エウリュディケーを追って死者の国である冥界まで行きます。

こちらはモンテヴェルディのオペラ『オルフェオ』を元に作りました。オルフェオ(オルフェウス)の役は、中世・ルネサンスの歌を中心に歌われる辻康介さんがイタリア語で歌い、狂言の奥津健太郎さんと僕が日本語(能や狂言)でそれに絡んでいきます。

死者の国に行く「黄泉下り」と、そこから戻って来る「黄泉返り(甦り)」の物語。これを二作続けて上演したときに、何か不思議な違和感を感じました。

それは、古代人にとっての「冥界」や、あるいは「死」というものは、どうも僕たちのイメージする冥界や死とは何か根本的なところで違う、そこからくる違和感でした。その違いを知ることは、古代人の死生観を知ることであり、さらにはそれによって現代人である僕たちでも誰もが直面する「死」に対する考え方やイメージも変わるのではないか、そう感じたのです。

そして、それならばいっそのこと、最古の冥界の神話、『イナンナの冥界下り』を上演しようと思ったのです。

というわけで、イナンナの話を進める前に、まずは『古事記』と『ギリシャ神話』の冥界下りについて、少しお話しておきますね。

和の芸能のコラボということ!

こんにちは。浪曲師の玉川奈々福です。

古代メソポタミア文明の中で、最古の都市文明・シュメール。
紀元前3500年ごろのその文明で使われていた楔形文字のシュメール語で記録された、現存する最古の神話「イナンナの冥界下り」を、日本語とシュメール語を交えて上演する企画。
語りと三味線を担当させていただいております。
いまから5500年前という、遠いいにしえの神話を上演するために、現存する最古の演劇であり、古代の儀礼的要素を色濃く残す「お能」を軸に構成していますが、この舞台は、能楽師(ワキ方、笛方、狂言方)のほかに、浪曲師、人形師、ダンサー、オペラ歌手など……それぞれに伝統的な身体技法を身に着けた芸能者たちのコラボレーションによって展開します。楽器は、能楽で使う笛(能管)、三味線のほかに、中東の打楽器であるダルブッカとダフ、またライアーという竪琴を用います。
神事のような感覚で見ていただく舞台かもしれません。

思い起こせば昨年3月。京都の西本願寺で行われた節談説教(←これも日本の誇るべき魅惑的な語りです!!!)セミナーに、安田先生と私は講師として参加させていただきました。
そのときに、先生が突然。
「えっと、今度のお仕事、奈々福さん、とりあえず三味線も持ってきてくれますか?」
あ、説明しますと、私は浪曲師ですが、浪曲三味線弾きでもあるのです。
しかし……三味線持ってきてくれますかって……何???
講師は、講義をするのです。
そして、浪曲師は、三味線の弾き語りは基本しないし、三味線一丁だけでは芸にならないのです。

「ぼくの語りに、三味線を合わせてみてもらえますか?」
……と言われたのは、講義の前日。
ど、え、え、え、ええええええええええっっっ!?
「お能」の先生の「語り」に、三味線を合わせるですとぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ???
……ところがあたくし、根が鈍感なのか果敢なのか。
翌日の講義。先生語るところの「吾輩は猫である」に、三味線を合わせていました。

以来、たった一年ちょっとの間に、もう十数回の舞台をご一緒させていただきました。
コラボしてはじめて気づいたこと。
浪曲の三味線は万能である、ということ。
いや、違います。和の芸能の基本には、息をくみ取り、息を合わせる、という身体性があるために、
私は語りの間に三味線で切り込んでいくことができ、先生もその間を利用しながら、語ることができるのです。

……他のジャンルの芸能と息を合わせるというこの刺激的な体験。
それによって、私は浪曲を再発見することができました。
毎度スリリングな安田一座。ぜひとも舞台を見に来ていただきたいと思います。(玉川奈々福)

いろいろな人が書きます!


yasuda
(安田登)

いままでこのブログは安田登(能楽師・ワキ方)が書いていましたが、これからは『イナンナの冥界下り』に関係するさまざまな方が書くようになります。

まずは浪曲師の玉川奈々福さんと能楽師狂言方の奥津健太郎さんに、ここに書くためのIDやパスワードをお渡ししましたので近日中に何かを書いてくださるはず(!)です。

で、誰が書いたかを示すために、最初か最後(あるいは両方)に署名を入れます。あと、できたら最初にこんなアイコンや写真を入れます。

僕(安田)のアイコンは漢学者の「Q公先生」です。Qは九でも構いません。おとが「きゅう」であればなんでもかまいません。

『鳩翁道話』で有名な(って、あまり有名じゃないかも知れませんが) 江戸時代の心学者「柴田鳩翁」先生のお名前を拝借しました。

…というわけで、これからのさまざまな方によるブログをお楽しみに~。