イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』や天籟能の会のためのブログです。

2015年05月

あらすじ(2)イナンナ冥界で死す

『イナンナの冥界下り』のあらすじ紹介の(2)です(吹き出しの中の言葉は、そこに書かれる楔形文字の現代語訳です)
 
(5)イナンナ冥界に到着!
イナンナは「行きて帰らぬ国」、冥界に到着した。
冥界の門、ガンゼル門の前で

「門を開けよ」

と大声で叫んだ
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(6)冥界の門番ネティ
冥界の門を守るのはネティ。
時ならぬ大声に「何事やらん」と出てみると… 
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(7)門番ネティ、不審者を尋問する
そこには若い女神がいた。

「お前は誰だ」と尋ねると、
「私は女神、イナンナ。東へ向かう者」と答える。

「冥界の女王エレシュキガルに来訪のむねを伝えん。
 しばらく待て」と告げる 
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(8)冥界の女王エレシュキガル、ネティに命じる
冥界の女王エレシュキガル(イナンナの姉)は、
イナンナの来訪を聞くと腿を叩き、唇に歯を立て、
ネティに命じる
「冥界の7つの門を閉じ、イナンナ自身に開けさせよ。
 門のひとつひとつで【メ】を剥ぎ取り、
 そして、裸となったイナンナをひざまずかせ、
 その衣を持ち去れ」 
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(9)つの「メ」が剥がされる
冥界の7つの門、ひとつひとつで【メ】が剥ぎ取られる。

「何をする」
というイナンナに…

「冥界の【メ】は満たされている。これが冥界の掟」

とネティは答える。

すべての【メ】を剥がれたイナンナは
裸にされ、ひざまずかされる。 
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(10)イナンナ、「死の眼」で弱き肉にされてしまう
冥界の裁判官(本当は猫じゃないよ)の
「死の眼」
イナンナは弱き肉(死体)にされ、
冥界の釘に吊るされてしまう。

冥界の女王エレシュキガルもなぜか
死の病に倒れてしまうのであった。

<続く> 
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あらすじ(1)イナンナ冥界に向かう

『イナンナの冥界下り』のあらすじを紹介します(吹き出しの中の言葉は、そこに書かれる楔形文字の現代語訳です)
 
(1)冥界に心を向ける
天と地を統べる女神イナンナは、天から地へと
「その耳(心)」を向け、そして冥界へと向かう。
※「心」を向けるというのをシュメール語では
 「耳」を立てる、という表現を使います。
 シュメールの神様は動物の上に乗っています。
 そういえば仏様もそうですね。普賢菩薩の象とか…。
 「耳」を向けるって、自分の乗る動物の耳を向けるのかも。 
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(2)いろいろなものを捨てる
女神イナンナは、冥界に向かう時にいろいろ捨てる。
※以下、捨てたものの一覧。
 天と地、エンやラガル(ともに祭祀)の地位
 エ・アンナ神殿(ウルク)、エ・ムシュ・カラマ神殿(バド・ティビラ)
 ギグナ神殿(ザバラム)、エ・シャラ神殿(アダブ) 
 バラグ・ドゥル・ガラ神殿(ニップル)、フルサグ・カラマ神殿(キシュ) 
 エ・ウルマシュ神殿(アッカド) 
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(3)7つの「メ(神力)」を身につける
代わりに7つの「メ(神力)」を身につけた(以下)。
 (1)野で頭を守るかぶりもの、
 (2)ラピスラズリのビーズ、
 (3)2つの卵型のビーズ、
 (4)女主人の衣装であるバラ、
 (5)「男よ寄って来い、寄って来い」という名のコールと胸飾り、
 (6)金の輪、
 (7)測り棒と測り縄

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(4)大臣ニンシュブルに後を託す
イナンナは従者である大臣ニンシュブルに

「三日三晩、冥界より戻らなければ
神々のとろこに行くように」

と申し渡した。
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