イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』を上演するための雑感を書くブログです。

シュメール語ワークショップ 第三回ご報告(髙井啓介)

シュメール語のワークショップの第三回目が11月30日(月)に無事終了しました。会場は今回も塚田有一さんのお花のスタジオ(リム・グリーン)が入っている東方學會ビル(神保町)の2F会議室でした。

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出席者は26名程度だったでしょうか。先月は女神イナンナに焦点を当てましたが、今回はそのおつきの神様ニンシュブルさんが主人公でした。

シュメール語のワークショップは毎回三部構成になっています。
(1)今日の主人公について簡単なレクチャー
(2)今日のフレーズを楔形文字で粘土に刻む
(3)舞台『イナンナの冥界下り』の台本のもとになったテキストと単語帳を使って文法を学ぶ

今回もそういう感じで進行しました。

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『イナンナの冥界下り』ではニンシュブルはとても重要な役割を持っています。イナンナは冥界に下る前に、自分が帰らなかった場合に何をすれば良いのかをニンシュブルに伝えておきます。大神たちのもとを巡り、最後に大神エンキに助けを乞うようにと言い残して冥界へ向かいます。ニンシュブルはそれを守って、のちに大神たちのもとを巡って、最後の最後にエンキからイナンナをよみがえらせる秘策を授かることになるのです。

『イナンナとエンキ』という神話のなかには、イナンナが七つのメをはじめとするたくさんのメをどうやって手に入れたかが書かれています。メはディルムンにあるエアブズ神殿にエンキが大事に保管していたのですが、イナンナはメがどうしても欲しくてたまらなくなり、あるときエンキを訪ねていって、宴会になり、酔っていい気分になったエンキから、メを全部もらってきてしまいます。イナンナは天の船アマンナにたくさんのメを乗せてウルクに戻ろうとします。酔いからさめて事の重大さに気づいたエンキは、おつきの神イシュムにイナンナを追わせ、メを取り返そうとするのですが、そのときにイナンナのために戦ってメを守ったのがニンシュブルでした。冥界に赴くときにイナンナが身につけたメは、こうしてニンシュブルが死守したメのうちの七つだったのかもしれません。

ニンシュブルが果たしていた役回りは、アッカド語の『イシュタルの冥界下り』ではパプスッカルという男性の神にとって変わられます。女神であったニンシュブルは後の時代にパプスッカルやイラブラトといった男神と同一視されるようになっていきます。このあたりもとても興味深いところです。

などなどをつらつらとお話ししてニンシュブル女神をご紹介しました。


そして第二部。シュメール語ワークショップが一番盛り上がるとき、楔形文字を刻む時間になりました。
今日のフレーズはこれ。

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ga-nu sukkal ~ は、イナンナが『ニンシュブルよ、こっちに来なさい!』と呼びかける場面に、歌手の辻康介さんが歌いあげるフレーズです。

でいきなり、これを書くのですが、楔形文字3回目にして、全部で3行、26文字といういきなりの難関です。細かい楔もたくさんありますし大変かもしれないと思いましたが、これだけの文字を書いていくと、楔形文字を書くということに間違いなく手が慣れていくのだなとわたしは感心してみなさんの粘土を見て回っておりました。

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ちなみに今回のはるき君の楔形文字アートは、「バッハ!」だそうです。小澤征爾さんではなくて、「バッハ!」だそうです。

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実は「バッハ!」以上に、はるきくんの楔の形の入り方とてもいいなあ、なんだか当時の書記っぽいなあと思って眺めておりました。四本の楔が斜めに入って重なるあたりがとてもとてもそれっぽいです。次回のワークショップでは、当時の書記たちが実際に書いたいろんな粘土板を見比べてみたいと思います。

そうそう必ず最後に携帯で粘土板の写真を撮ってみてくださいね。肉眼で見るのとは違い、陰影がくっきり入りますので、とてもとても上手に写真に写りますから。これは絶対にそうなります。

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最後に、女性のことばであるエメサル、名詞のあとにつく接尾代名詞、
文章がそこで終わる動詞の使い方と、次の文につながっていく動詞の使い方など
文法について考えてワークショップは終了しました。


来月のワークショップは12月21日(月)に同じ会場にて。
ご予約は、和と輪 info@watowa.net まで。

次回の主人公は、冥界の門番ネティ、その他にも冥界のいろんな住民たちについて考えます。
そして楔形文字本文からネティが登場するテキストを解読してもみようかななどともちらっと考えております。
どうぞ次回もよろしくお願いいたします。



 


 

イナンナと冥界(01)

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<安田登>

▼神話する身体

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先日の『イナンナの冥界下り』@セルリアンタワー能楽堂・蝋燭公演では本当にたくさんの方のお出ましに加え、感想もたくさんいただきました。

ありがとうございました。

この数年間「神話を読む」ということを行っています。この上演もその一貫です(来年3月の『海神別荘』も)。

「読む」といっても本を黙読するのではなく、それを声に出し、動きをつけ…と、<上演>という形で行っています。

なぜそのようなことをするのか、そしてどうやってするのかについては2008年に大修館書店の雑誌『言語』に一年間連載した「神話する身体(全12回)」に書きました。

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詳細はそちらに譲りますが(書籍化準備中…と言いつづけて早数年)、ざっくりいえば…

・その神話の言語(なるべく)そのままに、
・能の型付け、節付けの技法を使って、神話を神聖楽劇化し、
・それを演ずることによって自分の身体を使って神話を読む

…という試みです。

その過程で、神話の時代の人たちと現代人との間の違いにいろいろと気づきました。そしてひょっとしたらその時代のことを知ることは、これからの私たちの未来を考える上で大切なのではないかと思うようになりました。

(これもざっくり書けば)神話の時代はまだ「心」のない時代、すなわち<心の前の時代>です。

そして、現代の私たちは心を持ち、心によって喜びを感じ、しかし心によって死までも考えてしまう心が中心の<心の時代>に生きています。

そして、<心の前の時代>が文字の発生とともに終焉を迎えたように、ひょっとしたら<心の時代>もやがて終わり、次には<心の次の時代>が来るのではないかと思うようになったのです。そして、現代こそ、<心の時代>と<心の次の時代>の「あわい」の時代なのではないかと。

 ▼神話の時代と現代
 
そして、この時代の神話を読むと、現代との大きな違いがいくつもあることに気づきます。そのいくつかをあげると…

(1)「心」の有無
(2)女性の地位
(3)いのちと死
(4)論理

…です。

このうちの(1)の「心」の有無に関しては『あわいの力(ミシマ社)』に書きました。また、(2)の女性の地位に関しては『イナンナの冥界下り(ミシマ社)』に書きました。

 イナンナ本

神話の時代は、社会の中心に女性がいました。これはただ「女性中心社会」というような甘いものではなく、人々のものの感じ方、いや見方すらも現代とは全く違っていたのです。「どんな風に違っていたかというと」…なんて話を書きました。

で、実は『イナンナの冥界下り』の本に載せる予定が字数オーバーでカットしたのが(3)の「いのちと死」の問題です。

ちなみにこれは稲葉俊郎先生(東大病院循環器内科)をお迎えしての2015年12月7日(月)の広尾の寺子屋でも扱いたいと思っています。もし、このブログで興味を持たれ、さらに寺子屋開催日より前にご覧になられた方は、ぜひお出ましください。

寺子屋では、最初に稲葉先生と安田がおのおのミニ・レクチャーを行います。

稲葉先生がどのようなお話をするかはお楽しみですが、私(安田)は神話の中の「死」についてお話をしたいと思っています。結論だけいうと、少なくとも日本の古語には「死」がなく、『古事記』にも「死」はないのです(「しぬ」はありますが、これは「死」とは違います)。

そして、ふたりのミニレクチャーのあと、わいわいと対談をします。

昔の日本人は正月で年を取りました。正月とは、古い生を捨て、新たな生を迎える<時>だったのです。新たな年を迎え、新たに生まれ変わるためには、一度<死>についてじっくりと考える必要があります。そこには「生」のヒントもあります。

せっかくなのでお知らせを~!

▼寺子屋のお知らせ 

***********寺子屋***********
「いのちと死」
 ゲスト:稲葉俊郎先生(東大病院循環器内科)
 
2015年12月7日(月)19時~21時  受講料:お賽銭※
東江寺(広尾) 東京都渋谷区広尾5-1-21

※「受講料がお賽銭って結局、どうしたらいいの?」→お賽銭箱が置いてありますので適当な金額をお入れください。むろんゼロでも構いません。
★なお、寺子屋に関しての「東江寺」さんへのお問い合わせはご遠慮ください。

当日の飛び込みも歓迎ですが、参加がお決まりの方は以下にメールをいただけると助かります。

info@watowa.net

********************** 

▼大いなる虚構的真実としての冥界

さて、話がちょっと横にずれましたが、そんなわけで書籍『イナンナの冥界下り』ではカットされた「冥界」と「死」について、せっかくなのでブログでちょこちょこアップしていこうと思います。

神話の中の冥界や死を考えることは、古代人にとっての「死」や「死後の世界」について考えることであり、さらには私たちにとって「死」とは何かということを考えることでもあります。

現代人、すなわち「心の時代」の人々である私たちは、死は「ある」と思っています。すべての人の最後には死が待っている、それを疑う人はいません。ところが、「心の前の時代」の人にとっては、そうともいえなかった。死がなかったとはいいませんが、少なくとも死に対する考え方は私たちとは全然違っていました。

また、近頃でこそ「死後の世界」の存在を信じない人も増えてきましたが、「心の時代」の人々にとっては長い間死後の世界も「ある」ものでした。

シュメール人が死者の国(冥界)を「行きて戻らぬ国」と呼んだように、そこは行ったきりの世界、戻ってきた人のいない国です。臨死体験などもいわれていますが、あれは脳の生み出した幻影ではある可能性が高いとか。

すなわち冥界とは、その存在を立証することができない、永遠の心象でしかあり得ない国なのです。もし事実か虚構かといわれれば、「虚構」といわざるを得ない地です。

しかし、虚構でしかありえない国でありながら、ほとんどの文化は冥界のイメージを創り上げてきました。しかも、それらには多くの共通点がある。となると、これは単なる虚構と切り捨ててしまうことはできそうにありません。

虚構は虚構でも「大いなる虚構的真実」と呼ぶべきものです。

誰も戻って来ていないということは、その存在が証明できないのと同じく、絶対に存在しないということも証明できません。

「死」も「冥界」も、絶対にあるとも、絶対にないとも言い切れない。これからやってくる「心の次の時代」では、死も冥界もまったく違ったものとして認識される可能性があります。だからこそ、心の前の時代の人々の考えを知ることによって、いまの自分の常識を揺らがせてみたいのです。

というわけで、次回からは<心の前の時代>と<心の時代>との「あわいの時代」に書かれたものを読んでいきながら「冥界」と「死」について次から考えていきましょう。

イナンナ本small

--->(2)に続く(未) 

いよいよ始まる「海神別荘」プロジェクト

泉鏡花の最高傑作『海神別荘』を幻想楽劇として上演

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『イナンナの冥界下り』に続いて「てんらい」がお送りするのは、泉鏡花の幻想劇『海神(かいじん)別荘』です。

『海神別荘』は「泉鏡花の戯曲の最高傑作」と芥川龍之介が評するほどの名作ですが、しかし泉鏡花が生きていたときには一度も上演されなかったという悲運の戯曲でもあります。

なんといっても舞台は海神の棲む海底の楼閣

そこに居を構える海神の「公子」を舞台の中心に置き、あでやかな「官女たち」の歌舞音曲がそれを取り巻く。人の魂が化した海月の漂う海中を、海神の宮殿に向かうのは、人身御供として公子のもとに嫁ぐ清らかな「美女」

CGも特殊映像技術もない時代に、こんな幻想劇の上演は確かに不可能ですね。 

しかし、現実的な要素がひとつもない『海神別荘』は、「泉鏡花の」という限定詞を冠するまでもなく、世界の幻想劇の最高傑作のひとつといっても過言ではないでしょう。しかし、まさしくその幻想性・非現実性ゆえに、その上演が困難を極め、泉鏡花の在世中には一度も上演されなかったのです。

今回は、現存する世界最古の幻想劇である「能楽(能・狂言)」をその主軸に置き、美女には百鬼ゆめひな(飯田美千香)の「人形(ひとかた)」を据え、とことん現実性を廃した演出で、この作品を上演します。

歌舞を奏でる官女には『イナンナの冥界下り』でイナンナ役を務めた蜜月稀葵(みづき・まれあ)。

「難しいのでは」、「わからないのでは」という心配はご無用。美女の声を勤める浪曲師、玉川奈々福による明瞭な語りは現代人の耳にもよく馴染み、また幻想文学の泰斗である東雅夫が泉鏡花役で登場し、観客の皆さまをナビゲートしながら物語を進めます。

東京公演は、2016年3月5日(土)です。全席指定で12月10日より販売を開始いたします。また、『海神別荘』に向けての寺子屋も予定しています。お楽しみに~!

※なお、本公演は金沢、那須での公演も予定しております。詳細は後日。

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「海神別荘」@カメリアホール公演

2016年3月5日(土)1430開場 1500開演 
@亀戸・カメリアホール
(JR総武線で秋葉原から4駅8分「亀戸」駅下車 北口徒歩2分)

入場料:全席指定 予約5000円 当日5500

(学生・てんらい会員は1000円引き。入会のご希望はmember@inana.tokyo.jpへ) 

予約:イナンナプロジェクト事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-1133(9時~20時) 

【主な出演者】

公子 安田登(能楽師 下掛宝生流ワキ方)

沖の僧都 奥津健太郎(能楽師 和泉流狂言方)

美女 飯田美千香(人形師。百鬼ゆめひな)

侍女 蜜月稀葵(ダンサー)

美女の声 玉川奈々福(浪曲師)

笛 槻宅聡(能楽師 森田流笛方)

チェロ 新井光子(チェリスト)

泉鏡花 東雅夫(アンソロジスト、文芸評論家) 他。

 

ご予約を開始は1210日より

この公演につきましては、一般のお客様は、カメリアホール(03-5626-2121)へお申し込みくださいませ。

インターネット予約もあります。

http://www.kcf.or.jp/kameido/concert_detail_010500300307.html

会員様につきましては、事務局のほうにお申込みくださいませ。会員価格で1000円引きになります。

全席指定となりますので、ご希望を添えて、お申し込みください。

入場料のお振込みをいただいたのを確認後、チケットを事務局より発送させていただきます。

てんらいメルマガ第四号 (文責:玉川奈々福)

 北風が冷たい季節になりました。今年も残すところあとひと月!

 みなさま、お元気でお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

 1113日、「イナンナの冥界下り」第一回東京公演、セルリアンタワー能楽堂において昼夜公演、無事に終えることができました。

これも、会員の方々のお力添えによるところが大きく、心よりお礼申し上げます。

能楽堂という特殊な空間で、蝋燭能で行いました。

 

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能楽堂ならではの作法もあり、制限も素晴らしさもある中で、能楽以外の出演者たちにとっては大変貴重な経験となりました。

 多くの方からご感想をいただきました。それに励まされ、また考えさせられてもおります。

 なにせ、5000年前の神話を、この現代に現出させようという試みです。

 常に未完成であり、常に方法を探り、進化し続けていきたい……この演目は、いわゆる「劇場」では上演しません。演じる「場」により、この神話はさまざまに変化していきますので、どうか今後もお付き合いいただきたいと思っております。

 

公演当日、会員の方々には、安田登著『イナンナの冥界下り』(ミシマ社刊)をお配りいたしました。まだお手元に届いていないという方は、事務局にお申し出くださいませ。

イナンナ本

 さて、イナンナプロジェクトは、引き続き多彩なワークショップを行いつつ、次の公演への準備を進めております。

 次の公演は、「イナンナの冥界下り」@日本デザインセンター(銀座)です。

 デザイナーの原研哉さん率いる「日本デザインセンター」は、銀座四丁目の大きなビルの中にあります。13階のPOLYLOGUEはコンクリート打ちっぱなしの、フラットな空間。能楽堂とは正反対のような場所です。そこで、限定100名様に、ぺたんと桟敷にお座りいただいての公演です。客席と舞台とを明確にわけず、まるで祭りの場に紛れ込んでしまったような感覚でご覧いただける公演にしたく思っております。

12月1日からご予約を開始いたします。ご予約時に、会員であることをお伝えください。会員値段になります。チケットはご送付せず、当日受付での精算となります。定員に達し次第、締め切りとなりますので、ご了承くださいませ。

 

「イナンナの冥界下り」@日本デザインセンター公演

2月16日(火)18時半開場 19時開演

場所:日本デザインセンター13POLYLOGUE(中央区銀座4-13 銀座4丁目タワー13F 東京メトロ銀座駅、東京メトロ・都営地下鉄東銀座駅より徒歩すぐ)

全席自由(限定100名様) 予約5000円 当日5500

(学生、てんらい会員はそれぞれ1000円引き)

予約:イナンナプロジェクト事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-1133

(9時~20時)

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 そして、さらに次なる公演も3月にあります。

 泉鏡花原作「海神別荘」。

 泉鏡花の幻想戯曲三部作の中で最高傑作と言われ、上演困難とされた作品です。それをこのたびも、能・狂言・浪曲・人形・語り……等の伝統芸能の身体を用いたコラボレーションで上演します。海の底深く、琅玕殿を治める麗しき公子。彼の見初めた美女が、人間界から輿入れしてくることとなった……という、大変幻想的な世界です。

 これについては、亀戸駅前の「カメリアホール」という劇場で上演いたします。

 【主な出演者】

公子 安田登(能楽師 下掛宝生流ワキ方)

沖の僧都 奥津健太郎(能楽師 和泉流狂言方)

美女 飯田美千香(人形師。百鬼ゆめひな)

侍女 蜜月稀葵(ダンサー)

美女の声 玉川奈々福(浪曲師)

笛 槻宅聡(能楽師 森田流笛方)

チェロ 新井光子(チェリスト)

泉鏡花 東雅夫(アンソロジスト、文芸評論家) 他。

 

 1210日よりご予約を開始いたします。

この公演につきましては、一般のお客様は、カメリアホール(03-5626-2121)へお申し込みくださいませ。

インターネット予約もあります。

http://www.kcf.or.jp/kameido/concert_detail_010500300307.html

会員様につきましては、事務局のほうにお申込みくださいませ。会員価格で1000円引きになります。

全席指定となりますので、ご希望を添えて、お申し込みください。

入場料のお振込みをいただいたのを確認後、チケットを事務局より発送させていただきます。

 

「海神別荘」@カメリアホール公演

2016年3月5日(土)1430開場 1500開演 亀戸・カメリアホール(JR総武線で秋葉原から4駅8分「亀戸」駅下車 北口徒歩2分)

入場料:全席指定 予約5000円 当日5500

(学生・てんらい会員は1000円引き) 

予約:イナンナプロジェクト事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-1133

チラシ案表2 (2)

 

【エッセイ】蜜月稀葵


先日の能楽堂での公演では本当にありがとうございました。

沢山の皆様に支えられまして、無事に終える事ができました。

心から感謝申し上げます。

 

2014年に『御息』という作品を発表しました。”吸う息は神の御息、吐く息は御魂の御息”というサブタイトルで、私は”天と地”を行き来する存在として踊り、大いなる存在を「ただ一つのワタシ」と表現し、儀礼的な要素を散りばめてクリエイションを致しました。

その後にシュメールの女神イナンナが冥界に行くという舞台の話を頂き、何か不思議な流れを感じました。

そんなスタートでした。

 

 

『イナンナの冥界下り』はまったく自分の物差しでは図る事のできない作品で、山のシューレでの初演稽古はただただ必死。一つ一つを確かめながら積み上げた記憶がございます。

何がイイのかワルイのか、、。

通常の私のクリエイションは、立体的な白紙をどう埋めていくか、からはじまり、音楽、身体の形、空気の流れ、密度を見ていき、それに身体の動かし方で時間をコントロールして景を構築していきます。

が、こういった方法が全く使えず、、、とにかくやるしかないな、、と思ったのを覚えています。

さらに舞台上だけでなく楽屋作法等々に至るまでもが真新しく。。本当に幅広く学ぶ事ができました。

 

 

・・・・・・

 

 

沈黙から

すっと立ち

遠くのなにかに引かれている

旋回

体液への影響

手は天と地

 

これは、私が踊り始める時のイメージです。

能楽堂でのイナンナの動きは、これに強度と速度が数倍加算された状態で出てきました。

普段のダンスでは役になる事はほぼなく、ただ器となり音や場所の情報を通す事で踊っていますが、この作品で初めて役のフィルターを使いました。

役のフィルターを通すと全く予期しない方向に身体が進み、体感をしてみないとわからない事だらけになりました。全てが新しい体験でした。

 

 

『イナンナの冥界下り』はどんどん進化していく作品だそうです。(実際にそうでしたね!)

内容もさることながら、関わって下さる皆様や樹状に展開していく沢山の出来事、まるで小川が大河へ成長しているように思えます。最初に感じた流れがどんどんと先を伸ばし広がっていきます。

皆様からの声や新しい展開の話を耳にする度に日々精進を怠らず成長しつづけないといけないなと思いなおします。ダンサーは毎日の稽古が本当に大切ですからね。

楽しんで毎日稽古がんばりたいと思います。

 

そして、最後になってしまいましたが、毎回の新しい『イナンナの冥界下り』と広がり続ける出来事を皆様と一緒に楽しんでいけたら幸せに思います。

 

 

(みづき・まれあ ダンサー)

奈々福のガチンコ浪曲講座第四回(玉川奈々福)

第四回は、初めて「節の声を出してみる」をテーマに行いました。
「イナンナの冥界下り」でコロスをやってくださっている松山記子さんが写真いっぱい撮ってくださいましたので、
今回は写真満載。

この講座は、他の講座と違って、新規の受付をしておりません。
浪曲は、声を出すために体をかなり使います。
なので、初めての方々に習っていただくのに、段取りを考えてプログラムを組んでいます。
最初、節(歌うような部分)からは入らない。
啖呵(台詞や説明の部分)から入る。

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おお……真剣に一人一人を見つめる奈々福である。

ご自身がふだんふつうにしゃべっていることを、舞台上の表現にするための、いろは。
いかに、しゃべれないか、いかにクセがあるか、いかにコントロールが難しいかというのを自覚しながら、
お腹からまっすぐに声を出すということを第三回までに、さんざんやっていただいたあとで、やっと節となりました。

それまでの稽古がなくて、「節の声」を出すのは、危険なのです。

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それでも、今回も啖呵の復習から。

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徹底的な個人指導です(笑)。

そして、いよいよ三味線とともにうなってもらいました。ただし。うなるまでに、お手本を「百回聞いてきてね」とお伝えしておきましたが(笑)。
西洋音楽に慣れた耳で、節の音を聴きとるのはけっこう大変なので、身体になじませてほしいのです。

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語り芸の極意をお教えしておりますのよ。

三味線という楽器がどういう楽器であるかもご説明しました。

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今回の講座は、沢村豊子師匠に弟子入りした典子さんに手伝ってもらっています。
彼女も修業中。一回でも数多く三味線を弾いたほうがいいので、みなさんの前で弾いてもらっています。

みなさんいっぱいいっぱい声出しましたねー!!!

次回は、三味線の音を聞き分ける、耳を鍛える稽古をします。そして浪曲のあんな節、こんな節をご紹介します。


てんらいWS 発声第4回WS終了!(香西 克章)

発声ワークショップ第四回、
 11/26(木)19:00~21:30 三田フレンズ 地下1階 第2音楽室 にて終了しました。

 第1回から体を知る、頭部 、首、体幹部に続き、第4回では、腕をとり上げました。

身体を整え、5つの母音での受講者お一人づつお聞かせ頂き、グレゴリオ聖歌を歌いました。
皆さん更に深く力強い声になって参りました。
凄い!
更に凄い事は、イナンナでライヤーと歌手として出演されました三野さん、
地謡に出演されました精神科医の大島先生が講座に参加してくだいました。
そして、三野さんはイナンナを演奏して下さり、大島先生は、”精神世界と歌”のお話をして下さいました。
という贅沢な会となりました。
次回第5回は 12/18(金)19:00〜21:30 三田フレンズ 地下1階 第2音楽室 声と身体の仕組みを更に深めようと思います。テーマは、”脚”です!
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ダンスワークショップ 第四回ご報告(蜜月稀葵)

身体をしなやかに使う体操 part 3 ~連続した体操から簡単なダンスへ~

○いきなり体操から(飛龍会メソッド)
・丸めるそる
・伸ばす縮める
・捻る

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○体操からダンスへの変化
・身体の全てをコントロール配下におき、連続した動きへチャレンジ
・タイコに合わせて体操からダンスへの変化を楽しむ


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○文法とダンス
・点と丸。単語と文章。でダンスを作る。
・体操のメソッドを使って強調したい部分に色をつける
・クリエイション

シュメール語には「を」「私」がありません。
多分、、高井先生、、間違っていたらすみませんーーー!!! 
ダンスにするととても不思議な感じになりました。
これは次回持ち越しです。

今回は各個人でのクリエイションにした為、動画はなしです。

ダンス作品の制作過程をお伝えしました。
作品がどうやってできあがっていくか、ダンサーがどう作品に取り組んでいるか。
沢山のアプローチがある中で私が一番大切にしている方法をお伝えしました。
なかなか通常のレッスンではお伝えできない事を共有させて頂けて、ダンス作品というものを少しでもわかっていただけたらうれしいです。
「ダンスってなに?」という所に「あー!!そうなんだっ!!」ってわかって頂けたらと思います。
ダンス初体験の皆様に、このような事がお伝えできる事をとてもうれしく思います。
素敵な機会をありがとうございます。


来月もこんな感じでダンスクリエイションに触れられたらいいなと思います。
さらに、ベリーダンスのテクニックも扱ってみます。
かつてベリーダンスを踊っていた頃、企業団体のマラソン選手に骨盤のテクニックを教えて欲しいと言われ、教えた事があります。
骨盤を自由に動かす事(アイソレーション)はあらゆる運動に万能だと思います。
今はこのベリーダンステクニックで学んだ事がとても大きな成果を生んでいます。
男性も皆様も是非是非是非ご参加くださいませ!!


次回は、12月27日(日)17:00~19:00(2H)
身体のパーツを動かす part1 ~ベリーダンスのテクニックを使って~ 


ご予約
camale.info@gmail.com
080-7952-6709

11月のイナンナ関連のワークショップ:発声

皆様

てんらいWS 発声第4・5回のお知らせです。体を知る、頭部 首、体幹部に、第4回では、腕。第5回では足に焦点をあてます。
 
声と身体の仕組み更に深めようと思います。お待ちしております。

第4回 11/26(木)19:00~21:30

第5回12/18(金)19:00〜21:30

○場所:三田フレンズ 地下1階 第2音楽室(JR恵比寿駅より徒歩10分:アクセス方法は下記参照)
○受講料:2500円 

※仰向けに寝転んだり致しますので、動きやすい服装でお願い致します(スカートは不可。)コミック本などの厚さの本を2~3冊。ヨガマットやタオルなど敷物をお持ち下さっても結構です。

皆さまとお会いでき、声と身体の新たな発見の時間が持てますことを楽しみにしております。
香西 克章

★三田フレンズへのアクセス方法
【三田フレンズまでの行き方】 
・JR恵比寿駅東口(アトレ2F)改札を出て、右折し、動く通路「恵比寿スカイウォーク」に従って進んでください。4~5分で恵比寿ガーデンプレイス前に到着します。
・信号を渡り、右に進み、JR線路上の橋(恵比寿南橋)を渡り、すぐ左折します。
(左手側の線路に沿ってJR目黒駅方面に進みます。右手側には公園があります。) 
・2分もしないうちに、右側の「厚生中央病院」を越した付近に、陸橋があり、陸橋下を通過して、右折しますと30秒ほどで三田フレンズのビル前に到着します

11月のイナンナ関連のワークショップ:能とシュメール語

『イナンナの冥界下り』は、能楽、シュメール語、ダンス、声楽のワークショップを毎月開催しています。

ここでは11月の「能楽」と「シュメール語」のワークショップをお知らせします。

能楽の方は広い会場ですので、まだ参加が可能です。参加ご希望の方は info@watowa.net にメールをお願いいたします。シュメール語の方も現時点で数名可能です。

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「能楽の謡と動き~神聖なる身体に目覚める~」

第4回:大腰筋の活性化、すり足を深める
『鶴亀』を謡う(4)

2015年11月24日(火)19:00~21:00

場所:菅刈(すげかり)住区センター地下1階 レクリエーションホール
   ★前回いらっしゃった方は、前回とは違いますのでお間違えのなきよう
住所:目黒区青葉台二丁目10番18号
   東急東横線・東京メトロ日比谷線 中目黒駅から徒歩12分
電話番号:03-3461-7235

基準受講料:2,000円(これは基準金額で実際にはお賽銭方式になります。お賽銭箱に2,000円を基準にしてお好きな金額をお入れください)

予約:和と輪 info@watowa.net 
★シュメール語と両方に参加される方はお手数ですが別々にメールをいただければと存じます。

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「シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』」第三回

日時:11月30日(月)19:00~

基準受講料:2,000円(これは基準金額で実際にはお賽銭方式になります。お賽銭箱に2,000円を基準にしてお好きな金額をお入れください)

費用(初めて参加の方のみ):500円
『イナンナの冥界下り』のシュメール語台本、単語帳、文法ノート、油粘土、ペンをお配りします。

会場:場所:東方学会 本館2階 会議室
http://www.tohogakkai.com/

予約:和と輪 info@watowa.net 
★シュメール語と両方に参加される方はお手数ですが別々にメールをいただければと存じます。 

『イナンナの冥界下り』~感想とこれからの展開

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●『イナンナの冥界下り』感想のブログ

『イナンナの冥界下り』について、本当にたくさんの方がツイートをしてくださり、びっくりしています。ありがとうございます。

まとめようかとも思ったのですが、ちょっとやっている暇がないので…。すみません。

そこで、『イナンナの冥界下り』をご覧いただいた方のブログを紹介します。

ひとつは、山本貴光さん。ゲーム作家、思想家の方です(新潮社から『文体の科学』という本を出されていますし、著書もたくさんあります)。
 

もうおひとりは、稲葉俊郎さん。東大病院循環器内科のお医者さんです。


●いわゆる<見巧者>ではない方の感想

このおふたりのブログを読んだ玉川奈々福さんがおっしゃっていたのですが、おふたりとも、いわゆる<見巧者>ではない。能や歌舞伎や古典芸能、あるいはクラシックや演劇などをよくご覧になられていて、一家言ある!という方ではない。

そのような方の感想というのは深く沁みます。そういう意味では、正しくは「感想」ではないですね。

日本語には「感(感じる)」という言葉は昔はありませんでした。なかったから、中国から入ってきた「感(カン)」にサ変動詞をつけて「感ず」とせざるを得なかった。訓にもならないし、和語からも見つけられない。

たとえば「悲しい」というのと「悲しみを感じる」というのとは全然違います。小さい子が「かなしい!」というのはあるけど「悲しみを感じる」ってないでしょ。「おこってる!」というのはあるけど「怒りを感じる」というのは変。

前者は「かなしみ」や「いかり」と一体化しているのに対して、後者はそこからから、ちょっと離れている。

何かを観たときもそうです。どっぷりにそれに漬かるか(あるいは拒否をするか)、それとも批評家のように、ちょっと離れて観るか。おふたりのブログは、前者のブログです。

むろん、どちらがいいとも、悪いともありません(実演者は実は後者になりがちで、心から舞台を楽しめなかったりするのです トホホ…)。

●これからの進化の方向

稲葉さんがブログの中で指摘されていらっしゃるように、『イナンナの冥界下り』は常に未完成です。絶対に完成しない作品であり、しかもそれに手を加えるのはひとりではありません。

だって、5,000年も前の作品です。ひとりで作っていくのって変でしょ。余裕ができたら台本も公開しますので、どうぞ自由にお使いください…って、もともと5,000年前のものですし(笑)。

いろいろな方が、ご自分でさまざまにアレンジして、さまざまな『イナンナの冥界下り』が上演され、その噂を聞いた大英博物館やルーブル美術館のシュメールのキュレーターの方が、「なぜか日本では『イナンナの冥界下り』がよく上演されているぞ」って驚いたら楽しいです。

さて、僕たちのこれからのアレンジの方向性は…

(1)引き算:出演者も物語も引けるだけ引いて超シンプルバージョンに。
「登場人物は三人くらいでいいのではないか」と、松岡正剛さんが指摘して下さっていましたが、まことに!それこそ能に近くなります。そのくらいを目指したシェイプアップ版を作ります。 

(2)ラップ:江戸初期までの能は今の3倍ほどの速さだったという説もあります。そうなると語りはラップ、ダンスはヒップホップ。そしてヲノサトルさんの電子音楽。さらには藤井先生のVR(SR)も。
 
(3)ヲノさん、光嶋さん、いとうさんにお任せ~ 
音楽はヲノサトルさん、舞台美術は光嶋祐介さん、そして台本をいとうせいこうさんに依頼をしています。それらが徐々に上がってくると、どう変わるっていくのか…僕(安田)ですらまったく想像がつかない。楽しみ~。

(4)シュメール・ビールを飲みながらの野外公演
この公演を「神楽のようだ」と指摘してくださった方が何人かいらっしゃいました。まさに!それです。

で、そうなると、やはりお酒を飲みながら野外でしょ、となるでしょ。ちなみにシュメールのお酒は「麦酒(ビール)」です。そんなのも実は企画をしていて、これがかなり楽しみだったりします。
 
…というわけで、いろいろとお楽しみに~!