イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』や天籟能の会のためのブログです。

"Inana's descent to the nether world" in London and Vilnius

The Sumerian Story of Inanna's Descent to the Nether World is one of the oldest surviving myths. This performance re-tells that story through the world's oldest theatrical form, Japanese Noh theatre。

Ancient Sumerian and Japanese have linguistic similarities which allow for the adaptation of the Sumerian text with Japanese utai songs and katari narratives.

 "Inana's descent to the nether world" in London and Vilnius

London, UK
2018 WED. THE 14th FEB.  at 19:00
Chancellor’s Hall,  Senate House, 
University of London

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Vilnius, Lithuania  
Kas: Noh teatro ir šokio spektaklis šumerų mitologijos motyvais
"Inanos nužengimas į niekieno pasaulį"

Kur: Lietuvos nacionalinis dramos tratras Mažoji salė, įėjimas iš Odminių
g. pusės
Kada: 2018 m. vasario 16 d. 15:00 val.

Šumerų kalba su anglų k. subtitrais

Renginys nemokamas, tačiau reikalinga išankstinė registracija el. paštu:
grettitavai@gmail.com

イナンナの冥界下り:欧州公演

先日、玉川奈々福さんがお知らせしましたが、今月の12日(2018年2月12日)から『イナンナの冥界下り』欧州公演に行ってまいります。

先発グループは、今日(10日)出発し、イギリスで事前準備をしてくれています。

次のような日程です。

『イナンナの冥界下り』欧州公演

2月14日(水)ロンドン(イギリス)
ロンドン大学 セネートハウスライブラリー
UNIVERSITY OF LONDON
SENATE HOUSE LIBRARY

2月16日(金)ヴィリニュス(リトアニア)
リトアニア国立ドラマシアター(小ホール)
Lietuvos nacionalinis dramos teatras(Mažoji salė)
※リトアニア公演は参加費無料です。いらっしゃる方はGretaさんあて(以下)にメールをお願いします。
grettitavai@gmail.com

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英語とリトアニア語が見開きになっている欧州公演のパンフレットです。中川学さんが描かれたイラストをお借りして作りました(画像をクリックすると大きくなります)。本番では、これに台本をお付けして、お客さまに配布します。

裏_最終







イナンナ欧州公演概要決定!(文責:玉川奈々福)

皆様大変ご無沙汰をいたしました。
6月24日に、「イナンナの冥界下り」古代編・未来編をセルリアンタワー能楽堂で上演した後、
安田一座は、このプロジェクトとは別個の作品として、泉鏡花原作「天守物語」を、10月に金沢21世紀美術館で上演いたしました。
その後は、欧州公演のための準備などで……長らくのご無沙汰をお許しくださいませ。

さて、いよいよ、三年計画のこのプロジェクトの最終年度、最終目的である欧州公演の概要が決定いたしました。

「イナンナの冥界下り」欧州公演

高井啓介(監修、翻訳)
  ◆
安田登(女神イナンナ/能楽師ワキ方)
杉澤陽子(冥界の女王エレシュキガル/能楽師シテ方)
辻康介(エレシュキガルの声/イタリア古楽歌手)
Nadiah(大臣ニンシュブル/ダンサー)
玉川奈々福(ニンシュブルの声、語り/浪曲師)
奥津健太郎(冥界の門番ネティ/能楽師狂言方)
奥津健一郎(精霊クルガラ/子方)
笹目美煕(精霊ガラトゥル/子方)
  ◆
槻宅聡(能楽師笛方)
ヲノサトル(音楽家)リトアニアのみ
  ◆
大島淑夫(コロス)ほか

ロンドン公演:2月14日@
ロンドン大学(University of London)のSenate House内 Chancellor's Hall 19:00~
日本の伝統芸能についてのレクチャーと公演を行います。

リトアニア公演:2月16日@ヴィリニュス大学 開演時間未定
日本の伝統芸能についてのレクチャーと公演を行います。

主要メンバーは、12日に日本を発ち、ロンドン公演の翌日にはリトアニアに、ヴィリニュス公演終演後すぐ帰国という、ええええええ、欧州まで行って観光のひとつもできないのおおおおお(号泣)、というスケジュールでありますが、プロジェクト最終公演を、いい形で演じられるように、力を尽くす予定です。
詳細が詰まったら、随時またアップいたします。

『イナンナの冥界下り』未来編~いとうせいこうさんの声の出演も~

◆◆◆イナンナの冥界下り 2017年6月公演迫る◆◆
  ~いとうせいこうさんの出演(声)も決定!~

イナンナの冥界下り2017年6月公演チラシ表2/20170511


来る6月23日(金:あ、もう来週の今日)に予定されている『イナンナの冥界下り』セルリアンタワー能楽堂公演では、いままでの「古代編」に加えて「未来編」も上演いたします。

古代編には、実験道場の面々も登場し、またまたポップな舞台になります。そして、未来編は一転して(なんと)能よりも静かな舞台になりそうです。さらに未来編には、いとうせいこうさんによる声の出演(自著朗読)も決定しました。

ちなみに正面席はございませんが、ほかのお席はございますので、どうぞお早目に~。

▼未来編の舞台はシンギュラリティ直後の世界

未来編の舞台はシンギュラリティ直後の世界です。

AI(人工知能)やVR、そしてロボットなどのコンピュータ技術の進歩や、遺伝子工学、人工臓器などの生命科学などの発達によって、今までの常識がまったく通じなくなる世界(シンギュラリティ=特異点)が2045年頃に訪れるという予測を、レイ・カーツワイルがしました。

その前にも2020年(東京オリンピック)や2030年にも大きな変化が予想されています。もう目の前の話です。

シンギュラリティ表紙
マレー・シャナハン (著), ドミニク・チェン (監修・翻訳)

今回の『イナンナの冥界下り』未来編は、2045年頃と予測されているシンギュラリティ直後の世界が舞台です。

本当にシンギュラリティがやって来たら人類はどうなってしまうのだろうか。ひょっとしたらコンピュータに支配されたり、あるいは滅んでしまったりするのではないか、そう心配する人もいます。しかし、私はそんなことはないと思っています。なぜなら、このようなシンギュラリティを人類は過去に何度も体験してきたからです。

とはいえ、そのたびごとに確かに人々の生活や文化は激変し、ときには脳そのものの変化すら起きました。いまの生活がそのまま続くということはないでしょう。

直近のシンギュラリティは「文字」の発明による文字シンギュラリティです。文字シンギュラリティは、「心」を生み、「論理」を生み、そして「法(組織・マニュアルも)」を生みました。

シュメール語の『イナンナの冥界下り』は、文字シンギュラリティ直後に書かれた神話であり、私たちはこの神話を上演することによって、文字シンギュラリティ後にどのようなことが起こったかを知ることができます。

ならば、その構造をそっくりそのまま未来に移し替えることも可能なのではないか、そう思い『あわいの力』や『イナンナの冥界下り』(ともにミシマ社)を書いたのですが、その世界がほぼそのまま小説になっていたのです。

それが、いとうせいこうさんの『親愛なる(河出書房新社)』でした。

親愛なる表紙

▼ダンスをコトバとする主人公

『親愛なる』の初版は、読者ひとりひとりにカスタマイズされた形で物語れるという実験的な方法で書かれました(現在は普遍版の入手も可能)。

あらゆる事件が自分の周囲で起こり、自分のメールアドレスにいとうさんからメールが来る。そんな仕掛けに取り込まれ、現実と虚構との境を見失っているうちに、いつの間にか不思議な位相に引きずり込まれていて、気がつくと自分が近未来の韓国の地下世界にいるのです。

いとうせいこうさんの『親愛なる』では次のように書かれます。

*****************
昔、地上に人がいた。
だが、大きな戦いが起こり、人々は皆地下を目指した。
******************

今回の舞台は、この地下世界です。「イナンナ未来編」では、そこは「クル(Kur=冥界)」と呼ばれ、地下世界の女王「エレシュキガル」に支配されています。

小説のネタバレになるのであまり詳しくは書けませんが、『親愛なる』では、そこに住む人たちはどの国の言語も理解できるように身体改造がなされています。しかし、実はそれは「賢い者」によって「言葉が奪われている」状態なのです。

これって、即座に各国語に翻訳されるガジェットを手に入れた現代を思い出します。とても便利なようですが、実はそれを効率的に使うためには、たとえば主語を補ったり、従属節を明確化したりなどという英語的な文法でしゃべらなくてはならなくなります。知らないうちに世界中で文法の統一がなされ、それによって思考方法の統一がされてしまうのです。

こわ…。

さて、小説『親愛なる』の主人公であるソンメジャという女性は「DEF SONIC」と呼ばれる一群に属しています。彼女たちは共通言語的身体に改造されていないために、人々の話す言葉が理解できず、まずその話す言葉は人々には雑音としてしか聞こえない。

「DEF」とは、ヒップホップ用語で「かっこいい(definite)」とかそんな意味ですが、あとに「SONIC」が付くし、上記のような設定なので、当然それには「Deaf(聾)」が掛けられているでしょう(そしてそれと対になる「Mute(唖)」も)。

DEF SONICとして言葉を失っているソンメジャは、音声言語代わりにダンスで話し、聞きます。彼女にとっての(広義の)コトバは、ダンスなのです。

未来編のイナンナも、ダンスをコトバとするDEF SONICです。

※ちなみに主人公のソンメジャは、韓国の舞踏家、金梅子(キム・メジャ)さんがモデルです。

金梅子&土取利行「光」

※余談ですが、平城遷都1,300年記念式典のクロージング作品としたて、土取利行さんや中村明一さんと作った「間」を、金梅子さんが御覧になり、僕たちを韓国に招へいしてくださいました。そして、それを奈良で上演したときの司会が、いとうせいこうさんと松岡正剛さん…なんていう不思議な因縁もございました。

▼「脳」が文字を生み出した

ちなみに「Deaf(聾)」も「Mute(唖)」も、現代では差別用語として使用が控えらていれますが、しかしこれはシンギュラリティにおいてとても重要な身体的な特徴なのです。時代を変える人に刻まれた「聖痕」といってもいいでしょう。

文字シンギュラリティが中国で起こったのは紀元前1,300年ごろ、殷(いん=商)と呼ばれた時代です。

その時期に生まれたのが甲骨文字です。

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それを発明したのが誰かはわかっていません。しかし、殷(商)の「武丁(ぶてい)」という王の時代に最初のものが見つかっているので、武丁が文字を発明したという人もいます。そして、彼は聾唖(ろうあ)だったという説があるのです。

文字は、脳の外在化ツールではなかったかと思います。ひょっとしたら紀元前1,300年ごろに、現在のような突如とした情報の洪水が起こり、それによって氾濫しそうになった「脳」が外在化のツールを求め、文字が誕生したのではないでしょうか。文字は「脳」がその誕生を希求し、それを「DEF SONIC」の武丁が実現した、そう考えられるかもしれません。

ここら辺のことは情報学者のドミニク・チェンさんや、ゴスペラーズの酒井さんと『WIRED』での鼎談でお話したので省略しますが…


…しかし、それを発明したのがDEF SONIC(聾唖)の王であったという伝承は非常に重要だと思うのです。彼は、言葉の世界から離れていたからこそ、その洪水に巻き込まれることもなく、冷静に脳の外在化装置としての文字を生み出し得たのではないでしょうか。

▼不安創出社会を救う人たち

文字の発明によって、私たちは自分が直接体験したことのないことまでも喋ることができるようになりました。それが文明や文化を作ったのですが、しかし実体験よりも概念が上回り過ぎた現代人は、かつてないほど饒舌になり、その会話も思考も、身の丈を超えたものになっています。

「いま自分にないもの」を語ることによって人々はそれを「渇望」することになります。そしてそれは、やはり文字とともに生まれた「心」を刺激し、それが満たされないことがわかると「不満」が増大します。不満はやがて「不安」になり、多くの人々がびくびくしながらも、しかし不機嫌に生きる「不安社会」が誕生します。

現代社会は、ただ不安社会であるだけでなく、ニーズ(渇望)の創出というマーケティング手法の導入によって「不安創出社会」にすらなっています。

すべて「文字」と「心」と、そしてそれに伴う言語の過剰が生み出したものです。

ならば、ポスト文字や、ポスト心を生み出す人は、やはり武丁のような言葉を聞くことも、発することもできない人々、すなわちDEF SONICなのではないでしょうか。

▼無音の多い舞台

というわけで、「未来編」では言葉のない状態、すなわち無音やノイズが多くなります。

いろいろと調整中(許可の必要となることも多いので)なので詳細は書けませんが、派手な古代編とは対照的な静謐を多用する、緊張感あふれる舞台になる予定です。出演者も最少人数に抑え、舞台上にも空隙を多く作ります。

能を大成した世阿弥は「せぬ隙(ひま)」ということを言いました。言葉が出る前、動きが見える前、その時間的、空間的な間隙、それを「せぬ隙」といいます。後代の「間(ま)」のもととなる概念です。

今回の舞台では、この「せぬ隙」、すまわち「間」が非常に多い舞台になるでしょう。

ところどろこに、いとうせいこうさんの『親愛なる』からの引用が朗読されますが、それを朗読するのがいとうせいこうさん本人です。ただし、ノイズや音楽とリミックスされ、玉川奈々福さんの朗読、安田のシュメール語朗誦とも重なり(高井啓介先生にお願いして、いとうせいこうさんの文章をシュメール語訳していただきました)、いとうさんの存在も「せぬ隙」となります。

未来編のイナンナ役にはアムステルダム在住のコンテンポラリー・ダンサー湯浅永麻さんをお迎えします。埼玉トリエンナーレの『HOME(向井山朋子作・演出)』を、『イナンナの冥界下り』の出演者たちと観に行き、その表現力や身体能力の高さにみな度肝を抜かれ、今回の出演をお願いしました。

永麻さんはアムステルダム在住だし、能楽師、浪曲師の時間を合わせるのがなかなか難しいので、永麻さんをお迎えしての未来編・東京公演は今回が最後になるかも知れません。

実は2日公演にしたかったのですが、どうしても日程の都合がつかず、(ほんともったいないのですが)1回公演になってしまいました。

そんなわけで、安田からのメールも今日まで控えておりました。現時点でワキ正面と中正面にはまだお席があるようです。

くれぐれもお見逃しのなきよう、皆さまのお出ましをお待ち申しております。

■日時 6月23日(金)18時15分開場 19時開演

■場所 セルリアンタワー能楽堂(渋谷駅より徒歩5分)

■料金 正面席6,500円、脇正面席5,500円、中正面席4,500円

(てんらい会員は1,000円引き 指定ご希望の方は1,000円にて承ります)

■予約 てんらい事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-1133(9時~20時)

イナンナ那須公演無事終了。いよいよ欧州公演のための東京最終公演!(玉川奈々福)

「山のシューレ」は、那須の二期倶楽部で毎年行われる三日間の夏季学校。その年のテーマに添い、さまざまなワークショップやシンポジウムが行われます。その開き舞台で「イナンナの冥界下り」を演じたのは二年前。これが初演でした。
「山のシューレ」十周年の今年の開き舞台は、キャスティングと演出を一新した「イナンナの冥界下り」。
安田登の悲願であった、森の中の「七石舞台」……七つの石と、森と天をうつす鏡のような、流れる水のようなステンレス板が組み合わさっている舞台の上での上演がかないました。
内容は、昨年末に能楽堂で上演した「古代編」を、かなりシェイプアップし、狂言的であった演出を、また能的に変えたもの。
舞台
暮れ行く森の中。風の音、木の葉の刷れあう音。そんな中で、世界最古の神話。
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天地を統べる女神イナンナは、すべてを捨てて、七つの神聖なる霊力「メ」を身にまとい、冥界へと向かう。
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ところが冥界の女王にしてイナンナの姉であるエレシュキガルは、イナンナの到着を聞いて怒り狂い、
冥界の七つの門を閉じ、その一つ一つをイナンナ自ら開けさせること、そこで一つ一つ「メ」を奪うことを、
冥界の門番ネティに命じる。「メ」をうばわれたイナンナは、弱き肉=死体となる。
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イナンナの大臣ニンシュブルは、冥界に赴く前のイナンナに銘じられたとおりに大神たちに詣でる。
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以上の写真は、林信行さん撮影です。
那須は前日から豪雨になったかと思うと、晴れ間がのぞくという不安定な天候。
上演中も小雨がぱらつき、流石、雨乞いの能楽師と晴れオンナ浪曲師が共存する舞台!
でも、外の風にさらされる中で声を出すと、芸能の原初に立ち返る気がしました。

来年2月のイギリス、リトアニア公演に持っていく形が、見えて来た気がする公演でした。
さあ、6月23日(金)! いよいよ欧州行き前の東京最終公演です。
今回は、この「古代編」(一時間十五分予定)に加え、「未来編」(一時間予定)も一挙に上演します。
未来編のイナンナは、アムステルダムを中心に世界的に活躍するダンサー、湯浅永麻さん。
現在横浜バレエフェスのために来日中。昨年さいたまトリエンナーレで披露された向井山朋子演出の「HOME」は、見た方々の感想を見ると、相当すごかったみたいです。見に行けず無念だった!!!
未来編の舞台は、地上に住めなくなった人間が避難した地下(冥界)。そこを突如訪問するイナンナ。
彼女は言葉を持たないHuman2.0。
このイメージは、安田先生がいとうせいこうさんの「親愛なる」を読んで発想されたもの。
安田先生曰く、
『「無音」と「静止」がとても多くなる。インドの「空(シューニャ)」が中国で「無」になることによって、無はより積極的な意味を持つようになる。世阿弥は「せぬ隙」という。何もしない時空間を充実させる』
……私も出演予定なんですが、私は声で商売をしているものです。音です。……出番あるのか? 
いったい、どうなるんでしょう。

能楽から、浪曲、オペラ、ダンス、ヒップホップ、諸芸能の身体性精神性が混沌と交じり合って、
世界最古の神話を上演する舞台「イナンナの冥界下り」。
正面席は売り切れですが、他の席はまだあるようです。お出ましください。お待ちしております。

【古代編】約1時間15

■出演者

女神イナンナ         奥津健太郎(能楽師狂言方)

女神イナンナの声       辻康介(バリトン)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

冥界の女王エレシュキガルの声 安田登(能楽師ワキ方)

大臣ニンシュブル       Junko☆(実験道場ダンサー)

冥界の門番ネティ       蛇澤多計彦(実験道場ダンサー)

大臣ニンシュブルおよび冥界の門番ネティの声ほか 玉川奈々福(浪曲師)

クルガラ           奥津健一郎(子方)

ガラトゥル          笹目美煕(子方)

冥界の裁判官         我妻良樹(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         城ノ脇隆太(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         蛇澤圭佑(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         平田雅大(実験道場ダンサー)

ほか、コロス出演

音楽     槻宅聡(能楽師笛方)、大川典良(能楽師太鼓方)ヲノサトル(音楽家・DJ

監修・翻訳          高井啓介(大学教員・シュメール語講師)

~~~休憩~~~

【未来編】約1時間

女神イナンナ         湯浅永麻(ダンサー)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

語りほか 安田登(能楽師ワキ方) 奥津健太郎(能楽師狂言方) 玉川奈々福(浪曲師)

音楽   槻宅聡(能楽師笛方) 大川典良(能楽師太鼓方)

 

■日時 623日(金)1815分開場 19時開演

■場所 セルリアンタワー能楽堂(渋谷駅より徒歩5分)

■料金 正面席6,500円、脇正面席5,500円、中正面席4,500

(てんらい会員は1,000円引き 指定ご希望の方は1,000円にて承ります)

■予約 てんらい事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-11339時~20時)

イナンナの冥界下り、チラシ画像できました!(玉川奈々福)

イナンナの冥界下り2017年6月公演チラシ表2/20170511
6月23日公演チラシ裏
6月23日公演チラシ裏
6月23日(金)イナンナの冥界下り「古代編」「未来編」チラシ画像ができました。
欧州公演前の、国内での最終公演になります。この「未来編」を経て、このプロジェクトの最終の上演形が決まります。
初演から見てくださっている方々もおられることと思います。
シェイプアップした「古代編」と、
世界的に活躍されるダンサー、湯浅永麻さんをイナンナに向かえた、究極にシンプルな形でのイナンナ「未来編」。
一挙に上演する今回の企画。
どんなふうな変遷を経たか思い出しながら見ていただきたいと思います。
もちろん、初めての方も! 
今から5000年前に生まれた、世界最古の神話を、日本の古典芸能者たちが中心となったチームのコラボレーションで上演するのを、ごらんいただきたいと思います。
新イナンナ、湯浅さんの、今年の横浜バレエフェス参加に際してのインタビューがこちらで読めます。
http://balletnavi.jp/article/pickup/20170508-3688/

多数のご来場をお待ちしております。

【古代編】約1時間15

■出演者

女神イナンナ         奥津健太郎(能楽師狂言方)

女神イナンナの声       辻康介(バリトン)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

冥界の女王エレシュキガルの声 安田登(能楽師ワキ方)

大臣ニンシュブル       Junko☆(実験道場ダンサー)

冥界の門番ネティ       蛇澤多計彦(実験道場ダンサー)

大臣ニンシュブルおよび冥界の門番ネティの声ほか 玉川奈々福(浪曲師)

クルガラ           奥津健一郎(子方)

ガラトゥル          笹目美煕(子方)

冥界の裁判官         我妻良樹(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         城ノ脇隆太(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         蛇澤圭佑(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         平田雅大(実験道場ダンサー)

ほか、コロス出演

音楽     槻宅聡(能楽師笛方)、大川典良(能楽師太鼓方)ヲノサトル(音楽家・DJ

監修・翻訳          高井啓介(大学教員・シュメール語講師)

~~~休憩~~~

【未来編】約1時間

女神イナンナ         湯浅永麻(ダンサー)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

語りほか 安田登(能楽師ワキ方) 奥津健太郎(能楽師狂言方) 玉川奈々福(浪曲師)

音楽   槻宅聡(能楽師笛方) 大川典良(能楽師太鼓方)

 

■日時 623日(金)1815分開場 19時開演

■場所 セルリアンタワー能楽堂(渋谷駅より徒歩5分)

■料金 正面席6,500円、脇正面席5,500円、中正面席4,500

(てんらい会員は1,000円引き 指定ご希望の方は1,000円にて承ります)

■予約 てんらい事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-11339時~20時)

イナンナの冥界下り「古代編」「未来編」上演決定!

ブログの更新がしばらく滞っておりました。イナンナプロジェクト、次回公演の予定が決まりましたのでお知らせ申し上げます。

 

イナンナの冥界下り「古代編」+「未来編」

2017年6月23日(金)1815開場 1900開演

@セルリアンタワー能楽堂

 

です。3月に実は上演予定でしたが、キャストの都合で延期いたしました。

今回は、12月に能楽堂で上演した新バージョンをシェイプアップした形の「古代編」と、出演者を絞り込んで、非常にシンプルな形にした「未来編」とを、セットで上演いたします。

 

そして、いよいよ海外公演に、いままでさまざまな形で上演してきたうちの、どのバージョンをもっていくかを、この公演にて決め、準備を進めたいと思っております。

 

■ここで、この「イナンナの冥界下り」のおさらいをば。

これは、紀元前3500年ごろに起こった世界最古の都市文明、古代メソポタミアのシュメール文明、そこで語られ、楔形文字で記録された、現存する最古の神話のひとつです。

いったい、どういう神話なのか。ざっくりとお話しましょう。

(1)天と地を統べる女神イナンナは、唯一自分の手の及んでいない冥界に、7つの「メ(神力)」を身につけて向かった。

(2)イナンナの突然の来訪に怒った冥界の女王エレシュキガルは、イナンナの「メ(神力)」をすべて剥ぎ取って裸にし、冥界の釘にぶら下げた(地上は暗黒の冬世界となる)。

(3)大神エンキが差し向けたクルガラ、ガラトゥルの力によってイナンナは甦り、地上にも春が戻った。

 

■今回の上演の特徴

今回の上演は「古代編」と「未来編」の同時上演という初めての試みです。

「古代編」は、前回に御覧いただいたバージョンを短縮して上演します。「未来編」は、出演者をギリギリまで削り、能以上にシンプルな形での上演になります。

「イナンナの冥界下り」は、文字ができたばかりの頃の神話です。文字は「時間」を生み、「心」を生み、「論理」を生み、「道徳」を生み、「貧富」を生み、「男中心社会」を生み、それまでの世界を一変させました。それは人類にとって、ひとつのシンギュラリティ(特異点)でした。いま、世界はAI革命による新たなシンギュラリティを迎えつつあります。そのときに世界はどうなるのか、その予兆を感じさせるような上演にしたいと思っています。しかし、詞章(セリフ)は古代のものをそのまま(かなりカットしますが)使います。

 未来編のイナンナ役は、アムステルダムを中心に世界中で活躍されているダンサー、湯浅永麻さん。さいたまトリエンナーレでの「HOME(向井山朋子:演出)」を御覧になられた方も多いでしょう。

 未来編の音楽は能の笛(能管)と能の太鼓のみ。いままでとは全く違う舞台です。

 

■この舞台は発展途上です

「イナンナの冥界下り」はアーツカウンシル東京の助成を受け、イナンナプロジェクトとして2015年から3年計画で上演しています。2017年には欧州ツアーも予定しており、シュメールの遺物をもっとも多く収蔵するイギリスの大英博物館などでの上演を目指しています。

 

●協賛のお願い

公演のみならず、関連するワークショップを多数開催するなど幅広く活動し、その成果をウェブサイト等を通じて公開しています。長期にわたる活動を継続するため、みなさまのご支援をお願い申し上げます。

支援金振込先

三菱東京UFJ銀行 恵比寿支店 (普)0838943 テンライ

お振込みいただいた場合は、member@inana.tokyo.jp  までご一報ください。

 

【古代編】約1時間15

■出演者

女神イナンナ         奥津健太郎(能楽師狂言方)

女神イナンナの声       辻康介(バリトン)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

冥界の女王エレシュキガルの声 安田登(能楽師ワキ方)

大臣ニンシュブル       Junko☆(実験道場ダンサー)

冥界の門番ネティ       蛇澤多計彦(実験道場ダンサー)

大臣ニンシュブルおよび冥界の門番ネティの声ほか 玉川奈々福(浪曲師)

クルガラ           奥津健一郎(子方)

ガラトゥル          笹目美煕(子方)

冥界の裁判官         我妻良樹(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         城ノ脇隆太(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         蛇澤圭佑(実験道場ダンサー)

冥界の裁判官         平田雅大(実験道場ダンサー)

ほか、コロス出演

音楽     槻宅聡(能楽師笛方)、大川典良(能楽師太鼓方)ヲノサトル(音楽家・DJ

監修・翻訳          高井啓介(大学教員・シュメール語講師)

~~~休憩~~~

【未来編】約1時間

女神イナンナ         湯浅永麻(ダンサー)

冥界の女王エレシュキガル   杉澤陽子(能楽師シテ方)

語りほか 安田登(能楽師ワキ方) 奥津健太郎(能楽師狂言方) 玉川奈々福(浪曲師)

音楽   槻宅聡(能楽師笛方) 大川典良(能楽師太鼓方)

 

■日時 623日(金)1815分開場 19時開演

■場所 セルリアンタワー能楽堂(渋谷駅より徒歩5分)

■料金 正面席6,500円、脇正面席5,500円、中正面席4,500

(てんらい会員は1,000円引き 指定ご希望の方は1,000円にて承ります)

■予約 てんらい事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-11339時~20時)

 

伝統芸能の力を思い知る集い

伝統芸能の力を思い知る集い

~能、狂言、浪曲~

 

伝統芸能


伝統芸能は、なぜこんなにも長い間、続いているのか。
 

「そりゃあ、国から助成金とかいっぱいもらっているからでしょ」


 そう思うのは大間違い。たとえば私たちが毎年開催している「天籟能の会」は、今まで一度も助成金をいただけていません。浪曲の会も同じ。日本は伝統芸能に対して、冷たいというか、薄情というか、なんともスパルタな国なのです(一部のものは除く)。


ならば、なぜ?


 それはもちろん(!)伝統芸能には、すごい力や魅力があるからです。国からも地方自治体からも時代の流れからも冷たいあしらいを受けながら、持ち前のパワーで数百年の命脈を保っています。
 

むろん、伝統芸能によってその魅力や力は違います。同じ伝統芸能とはいえないほど全然違います。でも、その底流には現代の「消費文化」とか違う何かが流れているのです。今回は『イナンナの冥界下り』を支える3つの伝統芸能、「能」、「狂言」、「浪曲」の魅力を一気に体験していただきつつ、その力を思い知っていただき、さらには伝統芸能の底流に流れている何かを考えていきたいと思います。
 

参加者による座談会や、みなさまによるプチ体験もございます。

 

☆☆☆ 記 ☆☆☆


2月21日(火)
19時~ 東江寺(広尾)


入場料:3,000円(てんらい会員は1,000円引き)
※限定 70名 

 

~出 演 予 定
 

能 :安田登、 槻宅聡(能管)
 

狂言:奥津健太郎、 奥津健一郎
 

浪曲:玉川奈々福、曲師(未定)

 

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ご予約は…

・event@inana.tokyo.jp
・080-5520-11339時~20時)

…までお願いいたします。 

2017年1月の寺子屋

今年から寺子屋の情報も、こちらのブログに書いていくことにします。

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▼1月の寺子屋:1月17日(火)、31日(火曜)
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今月の寺子屋は両方とも火曜日になってしまいました。すみません。

東江寺(広尾) 東京都渋谷区広尾5-1-21
 ※広尾駅2番出口 下車5分くらい
 地図はこちら 
受講料:お賽銭(お賽銭箱にご自由にお入れいただきます)
時 間:19時から(だいたい2時間)

▼新春スペシャル寺子屋

今年最初の寺子屋(17日:火曜日)は、バイオリンの本郷幸子さん箏の北川綾乃さんをお招きしての新年スペシャルバージョンです。

おふたりによる演奏と、そして音楽のお話があります。

お話には安田も参加します。また、おめでたい祝言の謡(うたい)も謡いましょう。

***演目(予定)***

モーツァルト / 春への憧れ
宮城道雄 / 手事
宮城道雄 / 春の海
日本古謡 / さくらさくら

飛び込みも歓迎ですが、参加お決まりの方は info@watowa.net へメールをお願いします。

お待ちしてます!

明解する「冥界」その3 急の段

イナンナの「明解」下り(3) 急の段

『イナンナの冥界下り』を明解に解説する「イナンナの「明解」下り」の3回目。今回は「急の段」、女神イナンナが甦りますよ~。

シュメール語の高井啓介先生にチェックをしていただきましたが、文責は安田登です。写真は田島空さんに撮っていただいたものと、ビデオカメラからのキャプチャーを使いました。

イナンナ3

●全体の構造
またまた全体の構造を復習しておきましょう。今回は、この中の「急の段」です。

プロローグ イナンナ女神への憑依儀礼(神降ろし)
序の段 女神イナンナ 冥界に赴く
序の1段さまざまなものを捨て、7つの「メ」を身につける
序の2段大臣ニンシュブルに後事を託す
序の3段冥界への道行き
破の段 女神イナンナ、冥界の女王エレシュキガルに死を賜る
破の1段イナンナ、冥界に到着し、エレシュキガルの怒りを招く
破の2段7つの「メ」が剥がされる
破の3段弱い肉となったイナンナは冥界の釘に吊り下げられる
急の段 イナンナとエレシュキガルの甦り
急の1段ニンシュブル、神々のところに行く
急の2段クルガラ、ガラトゥル、冥界に行く
急の3段イナンナとエレシュキガルが甦る
エピローグ 神送り

▼急の段 イナンナとエレシュキガルの甦り 

●ニンシュブル、神々のところに行く

イナンナの大臣ニンシュブルは、イナンナが残した言葉のそのままに、体を引き裂き貧しき者のごとき姿で、哀歌を歌いつつ、神々の神殿を徘徊し、まずエクルのエンリル神殿に参り、そこで大神エンリルの前で涙を流し、大きな声で泣いた。しかしその願いが聞き入れられなかったニンシュブルは次に大神ナンナの所に参ったが、やはりダメだった。最後に参ったのは大神エンキのところ。

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<激しく泣くニンシュブル>
 
SnapShot(52)
<さらに激しく泣く>

●クルガラ、ガラトゥル、冥界に行く

大神エンキは、爪の泥からクルガラガラトゥルの二体を作り、命の草命の水を授けて冥界に遣わした。クルガラとガラトゥルを演じるのは子方(子ども)。クルガラは奥津健一郎、ガラトゥルは笹目美煕です。

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<エンキの爪の垢から作られたクルガラ、ガラトゥルは冥界に向かった>

gala-tur kur-ĝar-ra ĝišig nim-gin7 mu-un-dal-dal
(ガラトゥルとクルガラは蝿のように扉を飛び)
gala-tur kur-ĝar-ra za-ra lil2-gin7 mu-un-gur-gur
(ガラトゥルとクルガラは「風」のように柱を回った)

イナンナを助ける精霊たちが「蝿(nim)のように扉を飛び」と聞くと「え~、ハエ。やだ~」と思う方もいらっしゃると思うのですが、ハエは決して悪いものではありませんでした。アッカド語の『ギルガメッシュ叙事詩』には神にかたどった「大きな(偉大な)ハエ」のラピスラズリの首飾りを掲げる…などという表現もあります(第11書板163行目:George版)。

また、「風(lil2)」の方は「霊」と訳してもいいし、「息」と訳してもいい。ヘブライ語の「ルアフ(רוּחַ )」やギリシャ語の「プネウマ(πνεῦμα)」と同じですね。

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<”風(霊、息)”のように柱を回る>

SnapShot(60)
<ふたりは冥界に着いた>

●クルガラ、ガラトゥルとエレシュキガルとの会話

冥界に着いたクルガラとガラトゥルはエレシュキガルと不思議な会話をします。

クルガラ、ガラトゥル(以下、クル、ガラ):いかに申し上げ候。
エレシュ:u-u8-a šag4-ĝu10(ああ、私の内が)
ク  ル:おお、哀れなるかな御身の内が。
エレシュ:u-u8-a bar-ĝu10(ああ、私の外が)
ガ  ラ:おお、哀れなるかな御身の外が。
エレシュ:
a-ba-am3 za-e-me-en-ze2-en(お前は誰だ)
ク  ル:我が内より御身の内へ。我が外より、御身の外へ。
エレシュ:
a id2-bi ma-ra-ba-e-ne(川いっぱいの水を与えよう)
ガ  ラ川を満たす水なりとも。我が賜はるべきものにてはなく候。
エレシュ:
a-šag4 še-ba ma-ra-ba-e-ne(畑いっぱいの大麦を与えよう)
ガ  ラ 畑を満たす大麦なりとも。我が賜はるべきものにてはなく候。
クル・ガラ:ただあの釘より吊るされたる死体を賜り候へ。
エレシュ:
uzu niĝ2 sag3-ga ĝišgag-ta la2(釘に吊るされた死体?)
ク  ル:なかなかのこと。
エレシュ:
uzu niĝ2 sag3-ga ga-ša-an-zu-ne-ne(釘から吊る下げられた死体はお前たちの女王だ)
クル・ガラ:我が王であれ、我が女王であれ、ただただ賜り候へ。


●イナンナとエレシュキガルが甦る 

イナンナの死体をゲットしたクルガラ、ガラトゥルは、そこに命の水と命の草を注ぎます。するとイナンナは甦り、なんとエレシュキガルも元気になるのです。

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<甦ったイナンナとエレシュキガル>

●イナンナの舞

甦ったイナンナは喜びの舞を舞います。舞の詞章は、中川学さんのイラスト(ページの最初)の左側に書いてある楔形文字『イナンナ賛歌』)を元にしています(詳しい説明はこちら)。原文はエメサルという女性や神官が使う言葉ですが、それを普通の言葉(エメギル)に直しています。

den-lil2-e an ma-an-ze2-eĝ3(エンリルは私に天を与えた)
den-lil2-e ki ma-an-ze2-eĝ3(エンリルは私に地を与えた)
me-e dinana an-en(私はイナンナ)
ma-ra diĝir teš2 mu-da-sa2-a(私に比すべき神はいない)

67
<榊を手にして舞うイナンナ(右)>

69
<「私はイナンナ。私に比すべき神はいない」>

●エレシュキガルの舞

続いて冥界の女王エレシュキガルも舞を舞います。エレシュキガルの舞は「序之舞(じょのまい)」という能の舞です。

「序之舞」では、最初に「序」という特殊な足遣いがあります。これは陰陽師や山伏などが行う「反閇(へんばい)」「禹歩(うほ)」などの呪術的な足遣いを模したものとも言われています。

通常は能管(笛)と小鼓、大鼓、あるいは太鼓も加わっての舞になりますが、今回は能管とヲノサトルさんのアナログシンセによる冥界の風のようなノイズ。しかし「序」の間は能管だけで、静寂の中、緊迫感を持って舞われました。 

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<序の足遣いをする冥界の女王エレシュキガル>

088inana 087inana
<ヲノサトル(左)、槻宅聡(右)>
086inana 085inana

090inana

悠々たり悠々たり。太だ悠々たり。
生まれ生まれ。生まれ生まれて 生の始めに暗く
 
    【序之舞】青柳

杳々たり杳々たり。甚だ杳々たり
死に死に。死に死んで 死の終りに冥し
 
女神はパラの衣を着し
女神はパラの衣を着して
シャガンの器を油で満たし
溢るる思ひは身をくだく
千々に乱るる胸の火の
日も夕暮れになりぬれば
パラの衣の長き袂を
翻し翻し袖を返せば
返す命は常盤木の
永遠(とわ)の恵みをイナンナに与え
エレシュキガルはむばたまの
冥き道行く冥界の
冥き道行く冥界の塵の
霞にまぎれて失せにけり

▼エピローグ 神送り 

『イナンナの冥界下り』の舞台は、「よりまし」にイナンナの霊を憑依させるところから始まりました。このような芸能の場合、最後に憑依した神さまを送る「神送り」の儀式が必要になります(大相撲でも最終日に「神送り」が執り行われます)。

この舞台で神を送るのは神官コロスの役割。叙事詩の最初の詞章を謡いながらイナンナを送り、憑依を解きます。

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<神官とコロスによる「神送り」>