イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』を上演するための雑感を書くブログです。

シェンビ妄想

昨日の「メの妄想」に引き続き、あんがるたあきいがるしえ(タカイ)先生の「シェンビ」のツイートに触発されての、安田の「シェンビ」の妄想ツイートをまとめてみました。

また例によってTogetterです。Togetterでご覧になりたい方はこちらをどうぞ~

まとめ

  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:17:27
    あんがるたあきいがるしえ先生のシェンビに触発された「シェンビ妄想」ツイートを連投します。朝からお騒がせ〜。 twitter.com/inannasdescent…
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:18:22
    シェンビ妄想1)イナンナが冥界に付けて行く7つの「メ」のひとつであるシェンビはあんがるた先生も書かれているように、女性の目を飾るコールです。そして先生の中の人のタカイ先生が「上野東京ラインで(略)シェンビ的な目のお化粧した女性発見して、ふふと喜んでる」と書かれているように…
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:19:37
    シェンビ妄想2)現代でもそんな化粧は残っています。特に思春期の子がする場合は、派手な化粧が好きという可能性もありますが、自身の心身を守るために、このような化粧をしている子もいます。目に施すシェンビ的な化粧というのは「自分を守る」という呪力を持つ特殊な化粧、「呪飾」なのです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:21:33
    シェンビ妄想3)目に特別な化粧(呪飾)を施すというのは、目の周りの刺青として多くの民俗が残っていますが、シェンビのような化粧も古代中国でも行われていたようで、それを表すのが漢字「眉」です。甲骨文字ではこうなります。 pic.twitter.com/OSY6m12MDq
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:22:41
    シェンビ妄想4)「眉)に「女」を加えた文字が「媚」。目に呪飾を加えた女性は「媚蠱(びこ)」という特殊な呪儀をなす巫女となり、後代には人形(ひとがた)や嬰児の死骸などを用いた「巫蠱媚道」という強力な呪詛を操る恐るべき巫女ともなります。 pic.twitter.com/A5Aiwv9Aj8
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:23:35
    シェンビ妄想5)ちょっと話がずれますが、この「人形」というのは、サムエル記の「口寄せ」の女が、セプチュアギンタ(七十人訳)では「腹話術師」と訳されるというタカイ先生の先週の発表(って拝聴していないのですが)とも関係がありそで、これまたとても興味深いところなのです。お話、伺いたい~
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:24:14
    シェンビ妄想6)さて、イナンナのシェンビは「lu2 he2-em-du he2-em-du」と呼ばれます。意味は「男よ、寄って来い、寄って来い」。シェンビは男を招くための呪飾なのです。が、文中の「he2」は「願望法」なので、正確に訳せば「寄って来い」ではなく「願わくば寄り来よ」。
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:24:35
    シェンビ妄想7)この「願望法」というのが面白い。古代中国で祖霊や神を招く呪術は、周の時代に「禮(礼)」として完成します。現代では礼儀作法のように使われている「礼」は本来は呪術であったことは「禮」にも「メ」の楔形文字と同じ「示」が入っていることでも明らかです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:25:01
    シェンビ妄想8)神霊などの非在者に対する呪術であった「禮」は、やがて人に対する呪術にもなります。微小な労力で相手を動かす、すなわち丁寧な言葉や態度でお願いすると相手が何かしてくれちゃうという呪術が「礼」なのです。これはまさに願望法ですね。呪術と願望法とはとても親和性があるのです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:30:35
    シェンビ妄想9)シェンビ(呪飾)をつけた目は「眉」になりますが、もろそのままの文字は「夢」の上の部分です。「夢」の中にこの文字があるということは、悪夢もシェンビをつけた巫女(媚)によって見せられると考えられていたことを示します。 pic.twitter.com/uhUDjWmcNj
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:31:38
    シェンビ妄想10)悪夢は実害を招く。特に戦争などでは、そんな力が使われたら大変。だから「媚」を殺すことは古代の戦争においては重要でした。近代戦で軍旗を焼くようなものです。目に呪飾を持つ女性と「伐(戈による殺害」で「蔑」の字になります。 pic.twitter.com/kLZ72Wg8ga
  • 安田登 @eutonie2015-06-19 07:32:06
    シェンビ妄想11)「夢」の上部が付く文字としては「甍(いらか)」もあります。呪飾を瓦につけることによって悪霊の侵入を防ぎ、家を守る。日本では鬼瓦がそうですね。ちなみに狂言『鬼瓦』では鬼瓦を見た男が妻を思い出したりします(笑)。鬼瓦も元々は女性だったのかも。鬼嫁ですね(ちがww)。
 

メの妄想(1)

あんがるたあきいがるしえ(タカイ)先生の「メ」のツイートに触発されての、安田の「メ」の妄想ツイートをまとめてみました。

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まとめ

  • あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent2015-06-17 00:39:10
    さて,今度はいきなり22行目へとワープです。shembi lu2 he2-em-du he2-em-du igi-na ba-ni-in-g'ar しえんび る~ へ~えむどぅ へ~えむどぅ いぎな ば~に~いんがる。こんな感じでしょうか。イナンナが七つのメを纏っていく場面です。
  • あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent2015-06-18 02:36:29
    う~む。イナンナがウルクにメを持ち帰ったあとで,ウルクが高度な文明の恩恵に浴することができるようになったとあります。高度な都市文明を成り立たせる様々なもの(社会的慣行とか宗教的慣習とか技術といった)がメとされるようです。抽象的なものもありますが,物理的実体を伴うものもあります。
  • あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent2015-06-18 02:42:37
    いろんなリストがあってさまざまでわかりにくいのです。でも,われわれの物語『イナンナの冥界下り』では,メは確実に物理的実体を伴ったもの。技術の結果生じたもの,つくられたものです。イナンナは衣服や装身具としてのメを身体につけることによって危険から身を守ろうとしました。
  • あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent2015-06-18 02:45:42
    メを保有することでもイナンナに威信と力が付与されていると思うのです。イナンナはそれをよりわかりやすい装飾品として身につけることで,さらに自らの威光が高まり力に満たされるという安心を得たかったのではないでしょうか。台本では「霊力」とされますが,それはとてもいい訳だと思います。
  • あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent2015-06-18 02:58:55
    とまれ,しぇんび。shembiは五番目のメ(me)です。しぇんびはコール墨(kohl)。アラブの女性が眼のまわりにひくアンチモニーのアイライナーらしいです(写真参照)。昔昔ダマスカスの街角で,この眼に射抜かれたことがあった(かも)。 pic.twitter.com/K5n6L4IJ13
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:48:14
    朝から原稿のつもりが、昨日のタカイ先生(あんがるたあきいがるしえ先生)が書かれていたシュメール語の「メ」についていろいろ妄想したのを書いてしまったので、これから連投します。でも、これもいつか原稿として生きてくるはずですっ!
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:48:35
    メの妄想1)あんがるたあきいがるしえ @inannasdescent 先生の『イナンナの冥界下り』は「メ」に突入!「メ」が何かはよくわかりません。神々が占有する特別な「力」と先生が解説される「メ」は物語の中では7つの「物理的実体を伴ったもの」として描かれます。おお、様々な妄想が…
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:49:04
    メの妄想2)「メ」の楔形文字はこのように書かれますが、さらに古い文字を見ると右のようになります。甲骨文字をちょっとでも齧ったこのある人ならば、これを見た途端「おお、これは!」となるはずです。 pic.twitter.com/R9abkJJ8aO
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:51:30
    メの妄想3)そうです。「示」の甲骨文字とそっくりなのです。「示」は神や祀や祭などにつく神位を表す文字の偏ともなります。で、これは何かというと生贄や神位を置く台です。ですからここから血や灌酒が垂れている文字もあります。 pic.twitter.com/5I0JZnhZhY
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:53:23
    メの妄想4)ちなみにこの台がでっかくなると「でっかい神(最高神)」を表す「帝」になります。殷の時代の最高神は「帝」、周の最高神は「天」です。おっと周は今はいいですね。 pic.twitter.com/FuoMktCDq9
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:53:38
    メの妄想5)さて、この「示」に「肉(月)」を「手(又)」持って置く形を表す文字が「祭」になります。ちゃんと血もだらだら垂れています。なんてことを考えるとシュメール語の「メ」も、もともとは生贄を置く祭卓を表す文字だったのかなぁなんて妄想するのです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:54:26
    メの妄想6)ちなみに「示(ジ)」という音は寘(シ)=置くです。でも英語のputよりはbeに近い。で、面白いと思うのは「me」という音も、シュメール語の「to be」の語根なんですね(トムセン§535)。「示」も「me」も「ある、存在する」ということからの派生語です。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:55:07
    メの妄想7)さあ、こうなるともう妄想バリバリです。「to be」といえばヘブライ語で神を表す神聖四文字「יהוה(YHWH)」、これも「to be」がルートになっているとも言われています。となると「me」と「יהוה」も何となく発想は近いのかも、なんて妄想してしまうのです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:57:40
    メの妄想8)でも、だからといってシュメール語の「メ」が、ヘブライ語の神聖四文字に影響を与えた、なんて安易に考えてはいけませんね。こういう安易は発想は日本の帝はシュメールから来たなんて発想を導いてしまいます。それよりも人類の発想の類似に思いを馳せた方がいいです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 07:58:04
    メの妄想9)さて「示」は神意が示されるということで「示す」という意味で使われます。で「示」系の文字で「示」と音系が同じなのが「視」。「視」は示された神意を視るという意味です。となると「視る」というのは自分で視るのではない。神によって視せられたものを視るという受動的な行為なのです。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 08:04:54
    メの妄想10)さあ、こうなると「メ」と「目」も、さらに「かみ(神)」の「み」も関係あるんじゃないか、という妄想になるのですが、ここまで行くと例の「シュメール=日本」という怪しすぎる発想にも引きずられるおそれがあるので、あまり書きたくはないのですが、でも発想としてはありえるかも。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 08:08:48
    メの妄想11)古代日本語の神の霊力を表す語は「み(わだつみ)」「ひ(かみむすひ)」「ち(をろち)」があります。各語が神や人名を表す言葉の語尾について神位を表すように、YHWHもイザヤ、エレミヤのように人名の語尾に付くのも何となく気になる…。あくまでも発想の類似性としてね~。
  • 安田登 @eutonie2015-06-18 08:10:33
    あながるたあきいがるしえ先生のツイートに刺激されてのメの妄想、以上!ああ、朝から楽しかった~。さ、ちゃんと仕事をしよっと。では~。

あんがるたきいがるしえ先生のシュメール語講座(1)

あんがるたあきいがるしえ先生(@inannasdescent)先生が、Twitterにおいて『イナンナの冥界下り』を、ゆる~く講義してくださっています。

ここでは、それをまとめたTogetterを紹介していきます。

ちなみに「あんがるたあきいがるしえ先生(@inannasdescent)先生」の中の人は「タカイケイスケ先生(@ninshatapada )」で、安田がシュメール語を教えていただいている先生です。

タカイ先生から教えていただいたシュメール語の『イナンナの冥界下り』があまりに面白くて、今回の上演のきっかけになりました。

では、まず第一回目。『イナンナの冥界下り』の第一行目です。

以下は「togetter」のコピペです。「togetter」で読みたい方は、こちらでどうぞ。

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初演、無事に終了しました!

▼初演、終わりました!

『イナンナの冥界下り』の初演(山のシューレ@二期倶楽部)が無事に終了しました。

写真、なくてごめんなさい。写真が手に入ったら、そのときにご紹介しますね。

2時間の上演でしたが「あっという間だった」というお声をたくさんいただきました。嬉しい限りです!

お客さんは約140名。普段は80くらいのキャパなのですが、前を桟敷にすることによって、こんなにも入っていただけました。満席のためにご覧いただけなかった方もいらっしゃったようで、申し訳ございません。

さて、お客さんの中には中学生の少年もいて、熱心に見て、「楽しかった」と…。これも嬉しいです。

▼Twitter

『イナンナの冥界下り』、Twitterでの評判も上々で、以下、安田がフォローしている方たちのものを紹介します。

●いとうせいこうさん ‏@seikoito
『イナンナの冥界下り』@二期倶楽部、すごかった。能とオペラと狂言とシュメール語と傀儡師とベリーダンサーが渾然一体で、死者の復活を物語る。誰も合わせに行かないのに常に何かが合っているというセッション。

●タカイケイスケ先生 ‏@ninshatapada
(光嶋さんのTweetを受けて)わたくしも身震いする夜でした。今後ともどうぞよろしくお願いします。おかえりお気を付けて。

イナンナの冥界下り大劇団のコロスに参加させてもらえることになった。コロスのためのシュメール語教本もちょっとものしてもらいたいという話もあった。イナンナのクラスがこのような展開を見せるとは,感動しきりの夜である。
※シュメール語の先生である高井先生がコロスに参加していただけることになりました。そしてテキストもチェックしていただけることに。おお! 

 『山のシューレ』での安田登さん,いとうせいこうさんとの鼎談を終え,杜の都に発した「やまびこ」の響きにのっていま宇都宮まで運ばれたところです。芸能の力,ことばの力,死者の力,冥界の力,そういうものが渾然一体としたエネルギーを浴びに浴びた二日間。本当に貴重な経験でした。

東洋英和の生涯学習センターのシュメール語講座でなんとはなく読み始めた『イナンナの冥界下り』。おととしと去年と二年間かけて読み終えた。それをこんな素敵な舞台に仕上げてもらえて感動しきりです。安田さん,そしてすべての出演者のみなさま本当にありがとうございました。

●ヲノサトルさん ‏@wonosatoru
(さまざまなRTのあと)というわけで昨夜の那須二期倶楽部「イナンナの冥界下り」 にはとにかく圧倒され、もうこれで完成してるじゃんと思ったのだが。プログラムには次は当方や光嶋さんが参加してさらにバージョンアップする事が明記されているのであった。退路はない。笑 

●光嶋裕介さん ‏@yusuke_koshima
『イナンナの冥界下り』をプロデュースした能楽師の安田登先生の自在に境界を越境する感覚と、演者間に滲み出るそれぞれのプロ意識と他者への敬意。昨夜の演者たちには、何かが憑依し、会場の二期倶楽部には、確実に神の祝福を感じた。異物が同居するスペクタクルに言葉を失い、感情が揺さぶられる。

おはようございます。那須塩原、快晴。昨日の山のシューレで講演された『イナンナの冥界下り』は、圧巻の芸能コラボレーション。紀元前3500年ごろのメソポタミア・シュメール文明の最古の神話が、能、狂言、浪曲、人形、ダンスによって美しく響き合う奇跡のエンターテーメント体験でした。

産まれたばかりの『イナンナの冥界下り』という作品の舞台美術をやらせてもらうことは、建築家として全く新しい挑戦であり、ボーダーを越えて結ばれ続けるご縁を大切に、精進したい。はて、どうなることやら。昨日の演者さんたちとチームになれることに身震いしております。いやはや、大きな宿題だ。

● 怪談専門誌『幽』 ‏ 東雅夫さん @kwaidan_yoo 
「山のシューレ」で上演された「イナンナの冥界くだり」を拝見。凄い舞台でした。古代シュメール神話の世界が、能の様式に驚くほどマッチして、和洋古今の芸能が渾然一体となった祝祭空間が幻成。しかも、ここぞ、という局面で、多彩な演者の得意技が炸裂するというね。いやあ、堪能しました。(雅)

浪曲の奈々福さんと狂言の奥津さんの号泣芸の競演とか、ゆめひなさんの人形と生身のダンサーとの妖艶な競演とか、楽しきこと限りなし。無理やり予定を調整して参上して大正解でした。(雅)

終演後も「イーナンナー!」という朗唱が耳について離れませんでした(笑)。また、岡野玲子の怪作『イナンナ』にも通ずる部分があったり、花魁道中と神聖娼婦とか、いろいろなことを思い出させたり考えさせる、ただならぬ喚起力を孕んだ公演でありました。舞台が総合芸術であることを実感。(雅)

「イナンナの冥界くだり」の感想で書き漏らしたことが。冥界のコロスたち(大熱演!)による合唱と、ダンサーたちのエキゾティックなパフォーマンスは、「モスラ」や「キングコング対ゴジラ」など往年の東宝怪獣映画における原住民のダンス・シーンを否応なく彷彿させて大いに昂揚を覚えた次第。(雅)

● なかた ゆかりさん ‏@eucali_N
①今日は、「山のシューレ」イン那須塩原。イギリス人ガーデンデザイナー、ポール・スミザーさんのユーモアあふれる話がおもしろかった!自然の植生の中の植物をよ〜く観察することで、化学肥料や農薬に頼らず、手間もかからない庭づくりができる。

②それには、植物をよく知り、それに合った場所に植えるのと同時に、土が大切。腐葉土は、枯葉の重なりをミミズが食べることで、新しくよい土に生まれ変わる。そのよい土が植物を化学肥料に頼らず育ててくれる。

③次に、いよいよお待ちかねの『イナンナの冥界下り』を観ているとき、ふとスミザーさんの腐葉土の話を思い出しました。植物は、精一杯花や葉を付け、この世を謳歌し、繁殖を目指した後、葉を落とし土に生まれ変わり、またおのれを育てる。イナンナが冥界で死に、再生するように。

④スミザーさんの話で、もう一つおもしろかったのが、家庭菜園でも、つい作物を一列に並べて、同時に同じものを大量に収穫してしまう。一列に並べるのは、大量に収穫するとき効率がよいからで植物の事情ではない。植え方もバラバラに時期もずらして、少しずつできるよう楽しめばよいのだと。

⑤『イナンナの冥界下り』は、楔形文字が生まれて記された物語で、文字の無い時代の要素が読み取れるのではないか、文字の無い時代には、今のような時間の概念がなかったのではないかと以前安田さんのお話だったが、計画的に収穫する農耕には、時間の概念が必要で、イナンナはそうなる前の

⑥もっと自然にまかせた収穫の時代の神さまだったのではないかと。
何か不思議な組み合わせなのに、そこにメソポタミアの神さま、女神さまが、荒ぶる自然のように現れるのを観て圧倒されながら、そんなことを考えました。

⑦植物を生かす太陽と水と土。姉の冥界の女王エレシュキガルは、沈んだ太陽のようにも思えるけれど、違うのかもしれません。
植物の話を聞いた後に、『イナンナの冥界下り』観ることができて、おもしろさがさらにビビッドに。
「山のシューレ」楽しかったあ!
 

 

リハーサル終了!

山のシューレでの『イナンナの冥界下り』のリハーサルと、その後のお食事会が終了!部屋に戻って来ました。

一度通しただけだから、リハというよりは能の申し合わせに近いですね。

さらには昨夜、突然思いついたことを玉川奈々福さんに「ねえ、ねえ。こんなのやって」とメールでお願いしたり(これがひとつやふたつではないのです)、また今日もやりながら「やっぱこうした方がいいな」と突然変えたりと、明日もどうなるかわからない『イナンナ』なのです。

先日のプレ勉強会で、精神科医の大島さんが「イナンナと、冥界の女王エレシュキガルは表裏一体(双方が双方のシャドウ)ではないか」ということを話されました。シャドウなんていうとユング心理学?とお思いの方も多いと推察仕りますが、さにあらず。

「ユングはあまりにも無意識の世界にリアリティを感じ過ぎていた」という大島さん。元型のそれと同じ「シャドウ」という語を使ってはいますがちょっと違うのです。

この話は、近いうちにテープ起こしをしてまとめる予定で~す。

で、そのときの話がすごく面白かったので、そんなことも演出には入れました。

双方が双方のシャドウといっても、どちらかが本当の姿で、どちかが無意識界の表象、というわけではありません。「心」を持つ以前のイナンナと、「心」を持ってしまったエレシュキガル(姉)。

これは「心」を持つ前の自由に飛び跳ねていた自分と、「心」を持ってしまったがためにあれこれ考えて自由に飛ぶことができなくなった自分でもあるのです。

で、これって『古事記』のスサノオとアマテラスに似ているでしょ。スサノオはただ挨拶に行っただけなのに、アマテラスは我が国を奪おうとしての行為だと思って軍装して待つ。

「え~、そんなつもり全然なかったのに~」というスサノオに「うそこけ!」と疑うアマテラス。この両者の関係に、イナンナとエレシュキガルはなんか似ているのです。

別々の時間に存在する「自己」が、いまここで時空を超えて同時に存在しちゃった…っていうドッペルゲンゲルみたいなふたりなのです。

…てなわけで、今回の上演の最後の舞(踊り)では…

・エレシュキガル(姉):近代的な理知を持つ:三味線で表現

・イナンナ(妹):古代的なパッパラパー:能で表現

…という感じで作っています(って、これ突然、2日ほど前に「そうしますね、よろしく~!」ってLINEしたのですが)。 

山のシューレにいらっしゃる皆様へ:桟敷席のお知らせ

いよいよ明日(6月6日2015)、『イナンナの冥界下り』の初演が那須の二期倶楽部で開かれる「山のシューレ」の開き舞台で行われます。

今回、前の方のお席は「桟敷(さじき)」になります。毛氈の上に座布団を置く予定(だそう)です。 

で、演者はその桟敷ぎりぎりまで迫りますので、迫力を味わいたい方はどうぞ桟敷にお座りください。

そして、その方はどうぞジーンズなどの「楽な格好」でお出ましください。 

では、お待ちしております。 

あらすじ(3)イナンナよみがえる

『イナンナの冥界下り』のあらすじを紹介します。このカテゴリーだけは古いものが上に来ています。
 
(11)ニンシュブル、エンリルのもとに行く
 冥界に行ったイナンナが三日三晩戻らなかったので、大臣ニンシュブルは、破れた衣に身を包み、哀歌を歌いつつ、まずイナンナのおじいちゃんで、神々の王であるエンリルのところを尋ね、助けを求めた。しかしエンリルは「イナンナは天や地を欲しがったのみならず、欲しがってはならず冥界の【メ】も欲しがった。冥界に行った者は戻って来てはならぬ」と言った。
 ※イナンナに天と地をあげたのは、実はこのエンリルなんです。 
011_b
(12)ニンシュブル、ナンナのもとに行く
 エンキに拒まれたニンシュブルが次に尋ねたのは、イナンナのお父さんである月の神ナンナのところ。
 しかし、ナンナにも同じ言葉で拒まれてしまう。 
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(13)ニンシュブル、エンキのもとに行く
 次に尋ねたのはイナンナの義理の父であり、水や深淵、そして知恵の神であるエンキのところ。エンキは「もう!神殿娼婦のイナンナは面倒ばかり起こして、いつも困らせるんだから~」と言いつつも、「でも、かわいそうだね」と同情してくれる。
013_b
(14)クルガラ、ガラトゥルを作る
 大神エンキは、自分の自分の爪から泥を持ってきてクルガラという生命体を作り、自分の二の爪からガラトゥルという生命体を作り、命の草命を水を与えた。
 そして「冥界の扉をハエのように飛び越え、冥界の柱を霊(風)のように飛び回り、冥界に赴き、女王エレシュキガルの言うことを繰り返せ」と命じる。 
014_b
(15)クルガラ、ガラトゥル、エレシュキガルに会う
 クルガラ、ガラトゥルが冥界に到着すると裸にされたイナンナは冥界の釘からぶら下げられ、冥界の女王エレシュキガルは病に横たわっていた。 
 エレシュキガルが「ああ、私の内側が」と呻くと、ふたりはエンキの命じた通り「おお、御身の内側が」と答え、「ああ、我が外側が」というと「おお、御身の外側が」と答えた。
 「お前たちは何者だ」と問う冥界の女王エレシュキガルに「我が内側より御身の内側へ。我が外側より御身の外側へ」と答えるふたり。エレシュキガルは「川いっぱいの水を、また畑いっぱいの大麦を与えよう」というが、ふたりは「いや。ただあの釘に吊るされた死体を…」という。 
 エレシュキガルから渡された死体に「命の草」「命の水」を死体にふりかけるとイナンナは生き返った。
 「内側」「外側」は「心」「体」と訳してもいいかも。でもダメかも。
015_b
(16)イナンナ、エレシュキガル、喜びの舞を舞う
 クルガラ、ガラトゥルの力で、ふたたび命を得たイナンナは、冥界の女神エレシュキガルとともに喜びの舞を舞う(って、原作にはないのですが…)。
016b
(17)イナンナ、冥界より帰還する
 エレシュキガルは、クルガラ、ガラトゥルに「さあ、お前らの女王を連れてお行き」といい、イナンナは冥界から天の世界、地の世界へと帰還するのでした。
 めでたし、めでたし(って、本当は続きがあるのですが、今回の上演はここまで) 
017

いよいよ『イナンナの冥界下り』初演です

さて、いよいよ『イナンナの冥界下り』の初演が、明後日…

2015年6月6日(土)に山のシューレ@二期倶楽部(那須)

http://www.schuleimberg.com/

…に迫りました。

おかげさまで、こんなに遠いところでの初演なのに、お席はかなり早くに満席!

今週の日曜日に最終の全体稽古も終わり、あとは各自が自主稽古をしています。

準備は万全!

…と言いたいところですが、やはり細かな手直しがたくさんあり、特に奥津健太郎さん(狂言)は大忙し。すみませ~ん。

そして、かく言う私(安田)も、この数日間の歯痛で、もう5日も固形物を食べておりません。歯科医の先生のお話では「過労」とのこと。ま、それはね。

が、お腹がすいているだけで気力は万全。明日、二期倶楽部入りをして、夕方から通し稽古をします。

いらっしゃる皆様、どうぞお楽しみに~。 

あらすじ(2)イナンナ冥界で死す

『イナンナの冥界下り』のあらすじ紹介の(2)です(吹き出しの中の言葉は、そこに書かれる楔形文字の現代語訳です)
 
(5)イナンナ冥界に到着!
イナンナは「行きて帰らぬ国」、冥界に到着した。
冥界の門、ガンゼル門の前で

「門を開けよ」

と大声で叫んだ
005
(6)冥界の門番ネティ
冥界の門を守るのはネティ。
時ならぬ大声に「何事やらん」と出てみると… 
006
(7)門番ネティ、不審者を尋問する
そこには若い女神がいた。

「お前は誰だ」と尋ねると、
「私は女神、イナンナ。東へ向かう者」と答える。

「冥界の女王エレシュキガルに来訪のむねを伝えん。
 しばらく待て」と告げる 
007
(8)冥界の女王エレシュキガル、ネティに命じる
冥界の女王エレシュキガル(イナンナの姉)は、
イナンナの来訪を聞くと腿を叩き、唇に歯を立て、
ネティに命じる
「冥界の7つの門を閉じ、イナンナ自身に開けさせよ。
 門のひとつひとつで【メ】を剥ぎ取り、
 そして、裸となったイナンナをひざまずかせ、
 その衣を持ち去れ」 
008
(9)つの「メ」が剥がされる
冥界の7つの門、ひとつひとつで【メ】が剥ぎ取られる。

「何をする」
というイナンナに…

「冥界の【メ】は満たされている。これが冥界の掟」

とネティは答える。

すべての【メ】を剥がれたイナンナは
裸にされ、ひざまずかされる。 
009b
(10)イナンナ、「死の眼」で弱き肉にされてしまう
冥界の裁判官(本当は猫じゃないよ)の
「死の眼」
イナンナは弱き肉(死体)にされ、
冥界の釘に吊るされてしまう。

冥界の女王エレシュキガルもなぜか
死の病に倒れてしまうのであった。

<続く> 
010

あらすじ(1)イナンナ冥界に向かう

『イナンナの冥界下り』のあらすじを紹介します(吹き出しの中の言葉は、そこに書かれる楔形文字の現代語訳です)
 
(1)冥界に心を向ける
天と地を統べる女神イナンナは、天から地へと
「その耳(心)」を向け、そして冥界へと向かう。
※「心」を向けるというのをシュメール語では
 「耳」を立てる、という表現を使います。
 シュメールの神様は動物の上に乗っています。
 そういえば仏様もそうですね。普賢菩薩の象とか…。
 「耳」を向けるって、自分の乗る動物の耳を向けるのかも。 
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(2)いろいろなものを捨てる
女神イナンナは、冥界に向かう時にいろいろ捨てる。
※以下、捨てたものの一覧。
 天と地、エンやラガル(ともに祭祀)の地位
 エ・アンナ神殿(ウルク)、エ・ムシュ・カラマ神殿(バド・ティビラ)
 ギグナ神殿(ザバラム)、エ・シャラ神殿(アダブ) 
 バラグ・ドゥル・ガラ神殿(ニップル)、フルサグ・カラマ神殿(キシュ) 
 エ・ウルマシュ神殿(アッカド) 
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(3)7つの「メ(神力)」を身につける
代わりに7つの「メ(神力)」を身につけた(以下)。
 (1)野で頭を守るかぶりもの、
 (2)ラピスラズリのビーズ、
 (3)2つの卵型のビーズ、
 (4)女主人の衣装であるバラ、
 (5)「男よ寄って来い、寄って来い」という名のコールと胸飾り、
 (6)金の輪、
 (7)測り棒と測り縄

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(4)大臣ニンシュブルに後を託す
イナンナは従者である大臣ニンシュブルに

「三日三晩、冥界より戻らなければ
神々のとろこに行くように」

と申し渡した。
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