イナンナの冥界下り

シュメール神話『イナンナの冥界下り』を上演するための雑感を書くブログです。

「海神別荘~狂言版~」のチラシ(奥津健太郎)

みなさん、こんにちは。狂言の奥津健太郎です。

先日の初投稿に引き続き、またまたお詫びです「海神別荘~狂言版~」のチラシ画像をブログにアップしていませんでした本当にうっかりです。申し訳ありません


画像をクリックすると拡大します
海神別荘狂言版チラシ表S

海神別荘狂言版チラシ裏S


さて、気を取り直し~~今回の公演の見どころのひとつは、もちろん「実験道場」の身体能力Junko☆さんのヌンチャクさばきは目がぐるぐる回りますし、ギネス世界記録を持つメンバーも。舞台狭しと大暴れです。

「鮫だ!入道鮫でござりまするぞ」からはじまる戦いのシーンは必見ですよ。華麗な戦いの詳細はおたのしみです

あ、このシーン、ヲノサトルさんの音楽も本当に盛り上げます稽古場ではつい見入ってしまっています。

見どころ紹介またさせていただきますね

チケットのお申し込みは、event@inana.tokyo.jp までメールをいただくか、080-5520-1133(9-20時)にお願いいたします。

ご来場心よりお待ちしております(奥津健太郎) 

てんらいワークショップに【狂言】登場いたします!(奥津健太郎)

みなさま、こんにちは。狂言の奥津健太郎でございます。

さて、いきなりお詫びです私、本当に筆不精でブログ初登場です。申し訳ありませんこれからは「海神別荘~狂言版~」のこと、「イナンナの冥界下り」のこと、などなど書いていきたいと思っております

 

本日は、イナンナプロジェクト狂言ワークショップについてのお知らせです。イナンナプロジェクトの柱のひとつは狂言です。狂言は笑いの要素が強いですが、実はその基本は大真面目に「謡と舞」。「謡」を応用するとコトバになり、「舞」を応用するとシグサになります。


間狂言として緊張感をもって能の中にも登場し、学校公演では子どもたちを大いに笑わせもする、はたまた、多ジャンルとの共演もできる、伝統芸能「狂言」の懐の広さを身体で感じていただきたいです。


という内容ですので、基本的に月1回、来年3月までの継続参加をお願いいたします。単発のワークショップではお伝えしきれない狂言の魅力を、ご一緒に探っていきます。ぜひご参加ください。


kyogen

 

ご参加ご希望の方は、 kyogen-kentaro@k00.itscom.net までお知らせください。お申し込みお待ちしています

 

<内容予定>

会場:特記ない場合は「めぐろパーシモンホール リハーサル室」の予定です。

http://www.persimmon.or.jp/know/hall_other.html


第1回 「能と狂言の違い」(能・狂言合同です) 10月6日(木)19:00~21:00 

    目黒区民センター 勤労福祉会館サークル室

    https://yoyaku.city.meguro.tokyo.jp/syukai/0030/040/index.html

第2回 「狂言の発声1(謡とセリフ)」 11月1日(火)19:00~21:00 

第3回 「狂言の発声2(呼吸と間)」 12月7日(水)19:00~21:00 

第4回 「狂言の動き1(基本編・舞とシグサ)」 1月11日(水)19:00~21:00 

第5回 「狂言の動き2(応用編・イナンナ地獄の門番ネティになる!)」 2月上旬

第6回 「前回までの総復習/着物と装束の着付」 2月下旬

第7回 「最終回/ミニ発表会」 3月上旬 (会場未定)

 

参加費12,000円を基準にお賽銭

用意するもの 白足袋・扇(扇の貸し出しもございます)


ご参加お待ちしています(奥津健太郎)

奈々福の”ガチンコ”浪曲講座vol.2第二回報告(玉川奈々福)

暑さ寒さも彼岸まで。すっかり涼しくなりつつもムシムシする長雨の長月21日、浪曲講座二回目でした。
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この講座は、途中参加を基本受け付けません。稽古を積み重ねていただくことを旨としております。
初回の課題。
「課題音源を、100回聞いて来ること」……スパルタと思われる方もおられるかと思います。
浪曲講座は「声を鍛える」講座と思われるかもしれませんが、まずは、浪曲の声節に、耳を馴染ませ、
聴き取る力を鍛えることを、第一としております。

あまりにハードルの高い宿題故に挫折率を期待しておりましたが、初回参加38名に対し、第二回目は初参加1名を含む34名。おお、あんまり挫折しない(笑)。

まだ、二回目ですからね。

今回からは、徹底的に身体をつかってもらう、声のお稽古です。
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課題1
「ああなりましてこうなってこうこうしかじかでこうなった」
これを、ひといきで、音の大きさ、長さ、発音、すべてをコントロールし、ひとつの波をつくってでこぼこしないで、言ってもらう。

課題2
「江戸は神田お玉が池北辰一刀流の道場を開いております千葉周作の門弟平手造酒」

課題3
「ご来場賜りまして、あつく御礼申し上げます。○○○と申します。演題は鹿島の棒祭り、お時間まで!」
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みなさん、顔真っかにして、暑い暑いと顔を仰ぎつつ、懸命に声を出します。
相当今回は身体つかいましたね。
自分の体は楽器。いろいろな声の出し方使い方があります。
とにかく、使っていきましょう。
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今回は、語り芸の語り分けの極意も伝授。
これができれば啖呵については、勝ったも同然です。
後半、三味線に耳をなじませ、ちょびっと節もやってみました。
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進歩、早い! みなさん目に見えてどんどん変わって行きます。
面白いなあ。私も体力使ってへろへろです。

てんらいWS シュメール語ver.2 第一回 のお知らせ

イナンナの冥界下りプロジェクトのワークショップの二年目始まっております。

以前こちらでも告知していただきましたシュメール語のワークショップ、第一回目の日程が近づいてきました。

******記******

シュメール語で読む『イナンナの冥界下り』ver.2 第一回
講師 髙井啓介(たかいけいすけ)
参加希望・お問い合わせは→anisinin@gmail.comへ

日時:9月26日(月) 19:00~

基準受講料:2,000円(これは基準金額で実際にはお賽銭方式になります。お賽銭箱に2,000円を基準にしてお好きな金額をお入れください)
 
費用(初めての参加の回のみ):1
00円:初参加の方には油粘土とペンをお配りします。二年目だけど気分一新新しいのが欲しい!という方のためにも粘土とペンをまた用意してあります。 
 
会場東方学會2F会議室(東京都千代田区西神田2丁目4−1←神保町駅、水道橋駅、九段下駅から歩きます。たぶんどれも5分くらい。

二回目の10/24(月)も決まっています。その後は11/21, 12/19, 1/16, 2/13, 3/13の予定です。全部月曜日で三週間おきです。会場の予約が二ヶ月前までしかできないのですが、おそらくこのスケジュール通りに進むと思います。


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さて。
今年も『イナンナの冥界下り』の舞台をより深く味わうために
物語のなかからいろんなフレーズをシュメール語で読んでみます。

シュメール語は楔形文字で書かれていますが、
一つ一つの文字に意味があるところや、単語のなりたちとか、
文章の作り方とか、日本語にとても良く似ているので、
日本人にはとても親しみやすいことばです。

はじめての方は新しい驚きに出会いながら、
二年目の方も忘れていることを思い出しながら、
今年も楽しくシュメール語を味わってみましょう。

二年目は進化します。
今年はシュメール語やシュメール文化だけでなく、
そもそも西アジアの他の文化とか言葉とか
広く浅く(ひろくあさくです!)触れてみましょう。

ヒエログリフの解読とか、古いアルファベットの碑文の解読とか、
ルーン文字の解読とかポンペイの酒場のらくがきとか(←もはや西アジアではありませんが)
などなども、古代文字つながりで挑戦してみようと思います。

シュメール文明やメソポタミア美術に関するDVDを今年は見ようかと思ったり。
シリーズものにはしていないので、一回だけでも、途中からでも参加して
十分に楽しんでいただけます。

で、今年ももちろん文字を粘土に刻みます。
楔形文字を粘土に書いてみます。

あいうえ、から書き始めて、
自分の名前を、そして『イナンナの冥界下り』のフレーズを
いつのまにか上手に書けるようになります。
粘土とペンは初回にお配りします。二年目の方も新しくしましょう(ペンは慣れ親しんだものをお持ちいただいても結構です)。

というわけで、ことしも気楽に気軽に『イナンナ』とシュメール語、そして古代文明の素敵な世界を楽しんでいきましょう。
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会場にはだいたい25名ほど入れます。まだまだ定員募集中です。粘土とペンの準備がありますので、あらかじめメールでanisinin@gmail.comご出席の旨お知らせ頂ければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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緊急告知「海神別荘」狂言版を10月28日に公演いたします。

てんらい会員の方にはメルマガでご案内いたしましたが、泉鏡花原作の「海神別荘」の、なんと「狂言版」の公演が決定しました。

「海神別荘」は、明治6年生まれの泉鏡花が、大正2年、41歳のときに書いた戯曲。芥川龍之介や三島由紀夫、澁澤龍彦が絶讃した「妖怪戯 曲3部作」の1篇ですが、ここで描かれるのは、あでやかな官女たちの歌舞音曲が取り巻く海神公子の棲む海底の楼閣。海月と化した人の魂が漂う中、その楼閣 へ向かうのは、人身御供として公子のもとに嫁ぐ美女……。
そんな幻想世界の物語を、本年3月にカメリアホールにて上演しました。
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カメリアホールでの舞台(写真:御堂義乘)

この度は配役を一新し、「狂言」的演出で上演します。
これは、6月に那須の二期倶楽部「山のシューレ」で上演して大変好評だったもので、
なんと、ヒップホップと、お能の舞が融合する舞台です。
狂言の作品の中には、能をパロディにした作品がたくさんあります。「もどき」の手法を使って、悲劇の中に隠れている笑いを引き出すのです。どんな笑いが!?……お楽しみに!

泉鏡花原作『海神別荘』狂言版

日時 10月28日(金)18:30開場19:00開演 
場所 北とぴあ つつじホール(東京都北区王子1丁目11-1京浜東北線・南北線王子駅徒歩2分)

泉鏡花+僧都の声:東雅夫(アンソロジスト、文芸評論家)
芸者+侍女の声:玉川奈々福(浪曲師)
侍女:Junko☆(ダンサー)
執事たち:実験道場(ダンスユニット)
沖の僧都:笹目美煕(子方)
公子:安田登(能楽師ワキ方)
女房:奥津健一郎(子方)
美女:奥津健太郎(能楽師狂言方)

音楽:ヲノサトル 森山雅之
鏡花装束:北村紗希

入場料:全席指定 予約4000円
予約:イナンナプロジェクト事務局 event@inana.tokyo.jp 080-5520-1133(9時~20時)

9月(2016年)の寺子屋

以下は「和と輪」のメルマガで書いたことなのですが『イナンナの冥界下り』とも関連しますので、ここにも掲載します。

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天籟能では大変お世話になりました。

さて、8月はお休みしていた寺子屋ですが9月から再開いたします。

9月12日(月)と20日(火)です。

これから数回「あわいの時代」として「心の生まれる時代」に関して、さまざまなものを読んで行きたいと思います。

▼寺子屋:寺子屋
東江寺(とうこうじ:広尾)
東京都渋谷区広尾5-1-21
地図はこちらです→東江寺さんの地図
 
受講料:お賽銭

9月12日(月)19時~
  20日(火)19時~

飛び込みも歓迎ですが、参加お決まりの方は info@watowa.net へメールをお願いします。

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9月(2016年)からの寺子屋は「あわいの時代」のお話をして行きます。

9月12日(月)と20日(火)です。

『イナンナの冥界下り』の時代の話であり、さらにはこれからやってくる「心の次の時代」とも関係のある話です。シンギュラリティとも関連してきます。

かつてミシマ社さんから『あわいの力』という本を出しましたので、そちらをお読みになられた方には復習になります。また、本が出る前からも「あわいの時代」についての話はいろいろしてきましたので、寺子屋の常連の方は「もう聞き飽きたよ」という方もいらっしゃるかも知れません。

どうぞご寛恕を。

▼「あわいの時代」とは

「あわいの時代」の「あわい」というのは、簡単にいうと「間(あいだ)」のことです。

「じゃあ<間>といえばいいのに、なぜわざわざかっこつけて<あわい>というんだよ!」

…とお怒りの方もいらっしゃるでしょう。

が、簡単にいうと同じなのですが、簡単にいわないとちょっと(というかだいぶ)違うのです。

<間>というのは、たとえば「A」と「B」の間に挟まった部分、間隙をいいます。
間あいだ
それに対して<あわい>というのは「A」と「B」とが会っている部分、重なっている部分をいいます。<あわい>というのは「会う」から出来た言葉なのです。AとBの出会う部分、そこが「あわい」です。

 あわい

というわけで、「あわいの時代」というのも、ふたつの時代の重なった時代をいいます。

▼とつぜん変わる時代はない

「時代」って「はい。今日から鎌倉時代ね」なんて、そんな簡単には変わりません。平安時代の末期には、もう武は「力」を持っていたし、鎌倉時代になっても藤原定家なんて「武士の価値観なんて全然わからないよ」なんてことを日記に書いています。

太平洋戦争だって8月15日にすべての戦闘が終わったわけではなく、終戦の詔勅のあとに戦死した人もいっぱいいたし、終戦(敗戦)を受け入れることができなかった人もいっぱいいた。

そんな風に時代の変換期は常に「あわいの時代」なのです。

で、その中で僕たちが知ることのできる非常に大きな「あわいの時代」が、「文字以前」の時代と「文字以降」の時代との「あわいの時代」です。

で、AIが人間の知能を超えるのも目前の「いま」も、文字発明以来の大きな「あわいの時代」に突入をしています。これは『あわいの力(ミシマ社)』に書いた「心の次の時代」への橋渡しとなる「あわい」の時代です。これについても考えていきたいと思っています。

▼文字以前と文字以降

さて、未来の話は一応あとにして、寺子屋では、まずは昔の「あわいの時代」、文字の前と後のあわいの時代を見ていきます。

私たちは歴史を考えるときに「西暦」で考えるクセがついています。

特に「紀元前」、「紀元後」では何かが違うという風に思ってしまいます。確かにキリスト教が文化の中心になっている国ではそれも意味がありますが、しかしそれよりも「文字以前」・「文字以降」で考える方が文化的な関連性が見えることがよくあります。

たとえば古代エジプトのプトレマイオス朝のときに日本がどんな時代だったかを考えるよりも、成立年代を西暦で考えるとまったく違いますが日本の『古事記』甲骨文・金文楔形文字(シュメール語)、あるいは『イーリアス(ギリシャ語)』『旧約聖書(ヘブライ語)』を比べる方がさまざまなことが見えてきます。

「文字以前」の時代と「文字以降」の時代では、世界は劇的な変化をしました。

「文字以前」の時代は、文字がないので、むろん正確に知ることはできません。しかし、その文字で書かれたもっとも古いもの、すなわち文字が生まれてすぐに書かれたものには、まだ文字以前の時代の記憶の残滓が残っています。

それが「あわいの時代」の文字資料です。文字が生まれてすぐに書かれたものを読むことによって、「文字以前」の時代のことを知ることができるのです。

寺子屋では中国のあわいの文字資料である「甲骨文」や「金文」、そして日本のあわいの文字資料である『古事記』を中心に読んでいきます。

▼心の誕生

先ほど「文字以前」の時代と「文字以降」の時代では世界は劇的に変化をした書きましたが、そのひとつが文字の誕生によって起った「心※」の誕生です。

9月12日(月)の寺子屋では、この「心の誕生」について扱う予定です。

具体的には以下のことを考えています。

●まずは心の誕生について書かれた2冊の本を紹介する




●甲骨文を読みながら、当時、生贄にされ続けていた「羌(きょう)族」の紹介をする

生贄南地

おそらく12日はこれで終わってしまうと思いますが、もし時間が余っていたら…

●金文『大盂鼎』と中山国の諸器の銘文

大盂鼎

…も見てみましょう(これは次になるかも)。

※「心」について持っているイメージは人によってさまざまです。寺子屋では漢字の「心」を中心に扱います。

参加お決まりの方は info@watowa.net へメールをお願いします。

『イナンナの冥界下り』欧州公演の準備中!

yasuda

こんにちは。安田です。

じ、実は…

このブログに書いていたと思っていた多くの記事を実は違うブログ(和と輪)の方に書いていました。すみませ~ん。

http://watowa.blog.jp/

…というわけで、安田としてはとても久しぶりのブログになってしまいました。ほんと、失礼しました。

さて、来年度(2017年度)に予定されている『イナンナの冥界下り』の欧州公演の準備が始まっております。

▼まずはイギリス

まずは今年の6月にイギリスの大英博物館に行き、上演会場の打ち合わせをしてきました。今回の打ち合わせはシュメール語のキュレーターであるJonathan Taylorさんと中東部門の責任者のUrvin Finkelさんでした。

おふたりは大英博物館から「楔形文字」の本も出されています。

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会場案の(1)は大英博物館内にあるシアターです。むろん舞台上の上のものはなくなります。

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会場案の(2)はエントランス・ホール

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写真が小さくて、なかなか雰囲気は伝わりませんが、とても雄大なホールで、ガラスの天井からは穏やかな光が降り注ぎ、入っただけで異界に迷いこんだようになります。

ここに山本浩二画伯の抽象画の老松がかかり、それに光嶋裕介さんの舞台装置が置かれ、その前で古代の儀礼の再現のような『イナンナの冥界下り』が上演されると思うともうわくわくなのですが、でも、ここは入り口でもあり、いろいろと調整が必要なようです。

これから管理部門との交渉や打ち合わせが始まります。こちらはシュメール語の高井啓介先生にお願いいたします。

▼オランダでも


最初の計画では「イギリス」「フランス」「リトアニア」の予定でしたが、フランスの非常事態宣言が延長され、しかもこの上演には子ども(小学生と中学生)も参加するので、フランス以外での上演も探ろうということでイギリスからオランダにも行きました。

オランダのGroningen(フローニンゲン)ではオランダ在住のピアニスト、向井山朋子さんのご紹介でダンサーたちと3日間のワークショップをし、ここでの上演の可能性を探って来ました。

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▼イタリア

そして、来週(9月7日)からイタリアのミラノで、イタリア公演の可能性を探って来ます。

欧州公演での「老松」を描かれた山本浩二画伯の個展がミラノであり、そこでイタリア・アジア文化協会の副理事長で日本文化研究者のSusanna Marinoをご紹介いただく予定です。

帰国後にまたご報告いたします。

今回のミラノ滞在は3泊5日の弾丸出張です。目の前に大好きなヴェネチアがあるというのに(ミラノ→ヴェネチア2時間半。東京→銚子くらい)…。とほほ。

奈々福の”ガチンコ”浪曲講座vol.2の第一回報告(玉川奈々福)

イナンナプロジェクトとしては、4月の西徳寺さんでの「イナンナの冥界下り」以来ご無沙汰しておりますが、
「てんらい」の公演としては、6月に二期倶楽部で「海神別荘」狂言バージョン、8月に金沢・能楽美術館で「海神別荘」と公演を重ねております。

さて!

今年もワークショップの季節がやってまいりました。
イナンナプロジェクトは、「イナンナの冥界下り」を、さまざまな伝統芸能のコラボレーションで公演を重ね、来年の海外公演を目指しておりますが、
お客様に、公演を見ていただくと同時に、伝統芸能を学んでいただき、より理解を深めていただく、という活動も同時進行しております。
それが、多彩なワークショップ。

浪曲師・玉川奈々福は、昨年に引き続き、”ガチンコ”浪曲講座を主催いたします。
この講座は毎月一回、全七回。
浪曲における、声の出し方、節のつくりかた、語り芸のテクニックを惜しみなく伝授するというもので、
初回に募集をかけて締め切り、追加募集をしません。
つまり、七回、稽古を重ね、積み上げていただくことを重視しています。

チラシはこちら。
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去年は、20名募集して、初回29名までふくれあがり、そして最終の七回目の参加者は17人と、大変ほどよい挫折率(笑)。
今回はなんと初回38名様のご参加でした。

浪曲を、学びたいと思ってもらっただけで、相当嬉しいです。
抱きしめちゃいたいくらい嬉しいです。
様々な方が様々な動機、興味、人生の事情があって受講されるのでしょう。
その動機が知りたくもあり。
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第一回は、前半、座学にしました。
日本にはどんな伝統芸能がありますか、と問いかけ挙げてもらう。
その中で、「語り」を中心とした芸能はどれですか。
皆さんが学ぶのは、その数ある芸能の中の、「浪花節」。
それぞれの芸能には芸能のアイデンティティがあり、歴史があり、担った人たちがいて、享受した人たちがいる。
そういうさまざまな要素が、それぞれの芸能の形をつくっています。
いったい、どんな芸能なのか。
そこらへんを、お話ししました。
浪花節がこんな声、こんな表現、そして一人の芸ではないことには、ワケがある、と。
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そして後半は、「啖呵」のお稽古はじめの一歩。
たかだか4行の、それを繰り返すだけ、なのに、皆さんみるみる変わって行く。
面白いなあ。開発し甲斐があるなあ。
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みなさんに、自己紹介と、いまここにいるワケを「腹からの声」で言って頂きつつ、課題レッスン。

皆さんのやる気を浴びて、頑張って浪曲やろうなあという意欲が湧きまあした。
ありがとう!

今年も開催「奈々福の”ガチンコ”浪曲講座!」(玉川奈々福)

なんと、イナンナブログ、五か月ぶりの更新でございます。
大変ご無沙汰いたしまして、申し訳ありませんでした。
3月の泉鏡花原作「海神別荘」@カメリアホール公演のあと、
4月には、「イナンナの冥界下り」@浅草・西徳寺公演。
そして6月には、3月と同じ「海神別荘」を、まったく違う演出で演じる「海神別荘」狂言バージョンを、「山のシューレ」@那須・二期倶楽部で上演をいたしました。
8月には「海神別荘」を、金沢の能楽美術館で公演いたします。

泉鏡花原作 安田登脚色「海神別荘」
【日 時】8月13日(土) 18:30~20:30(開場18:15)
  
 ここは海の底深く、琅玕殿を治めるのは麗しき公子。彼の見初
めた美女が、人間界から輿入れしてくることとなった・・・。
 泉鏡花の幻想戯曲三部作の中で最高傑作とされ、上映困難とも
言われた作品を、能・狂言・浪曲・人形・語り・・・等の伝統芸能
の身体を用いたコラボレーションで上演します。
 泉鏡花生誕の地、金沢に建つ能楽美術館にて、妖しく幻想的な
夜の宴をお楽しみください。

【出 演】東雅夫(泉鏡花)玉川奈々福(美女と女房の声)
     安田登(公子)百鬼ゆめひな(美女)
     奥津健一郎(女房)奥津健太郎(沖の僧都)
     笹目美煕(童子)槻宅聡(笛)ほか

【申込み】7月13日(水)~ お電話またはFaxにて受付。
              先着70名。
               金沢能楽美術館 TEL 076(220)2790
                                       FAX 076(220)2791
【参加費】2,000円
http://www.kanazawa-noh-museum.gr.jp/event/2853

さて! 昨年もイナンナプロジェクトは多彩なワークショッププログラムを作り、多くの皆様にご参加いただきました。
今年もさまざまなワークショップを展開いたします。
まず8月から開始するのは、玉川奈々福の”ガチンコ”浪曲講座です。
昨年とは、演題を変えますが、基本的な流れは同じ。啖呵で声を出す事を覚え、しっかりと声をつくっていったあとに、三味線に乗る声を出す、節の種類を知り、浪曲のテクニックを知り、最後は短い浪曲を演じていただきます。30名様までうけつけます。途中参加は、なし。
最初から段階を追って、稽古を重ねていっていただく形をとりたいと思っています。
お申し込みは、プロジェクト福太郎まで。tamamiho55@yahoo.co.jp 090-7001-6867
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『海神別荘』への道(4)海神別荘寺子屋 第一回目03

yasuda

第一回「『海神別荘』寺子屋」の続き(3回目)をお送りします。以前のものはこちらでどうぞ~。

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▼鏡花の年賦

安田 今日も東さんは年表を作って来て下さいました。

東さん作成「泉鏡花演劇関連年表」

◆明治六年(一八七三)0歳
十一月四日、泉鏡花(本名・泉鏡太郎)、石川県金沢町下新町二十三番地(現・金沢市下新町二番三号=泉鏡花記念館の所在地)に生まれる。彫金師・泉清次とすず夫妻の長男。母の実家は葛野流大鼓師の家で、鏡花の伯父にあたる松本金太郎は、高名な宝生流能楽師であった。

◆明治二十四年(一八九一)18歳
十月十九日、上京後一年を経て尾崎紅葉宅を訪ね、直ちに入門を許される。

◆明治二十六年(一八九三)
五月、処女出版となる『探偵小説 活人形』(春陽堂)を刊行。

◆明治二十七年(一八九四)
十月、初の怪談小説「黒壁」を「詞海」第三輯九巻に発表(十二月発行の同誌十巻に続編掲載)。

◆明治二十八年(一八九五)
三月~六月、「妖怪年代記」を「文藝倶楽部」第三編~第六編に連載。
十二月四日より浅草座にて、川上座で「瀧の白糸」(「義血侠血」と「予備兵」の綯い交ぜ、八幕)が初演される。
十二月六日、紅葉の抗議を受けた川上音二郎は、主要新聞に無断上演を謝罪する謹告を掲載、「義血侠血」と「予備兵」が紅葉・鏡花の合作であることを明言した。その後「瀧の白糸」は、高田実らの成美団により東北各地で巡演された。

◆明治三十三年(一九〇〇)
二月、「怪談女の輪」を「太陽」に、「高野聖」を「新小説」に発表。
三月十一日、川上眉山宅で文学者講談会開催。尾崎紅葉、巌谷小波らが自作を口演。鏡花も「湯女の魂」を口演する。
六月二十二日より、川上座の二番目狂言として「辰巳巷談」初演される。

◆明治三十四年(一九〇一)
十二月十五日、紅葉や硯友社一門と宮戸座で「瀧の白糸」を鑑賞。

◆明治三十五年(一九〇二)
八月三十一日より常盤座一番目狂言として「艶物語」初演される。

◆明治三十六年(一九〇三)
十月十一日頃、当時、大阪の成美団に参加していた新派俳優・喜多村緑郎との交友始まる。
十月三十日、尾崎紅葉逝去。
十一月二十二日より国華座一番目狂言として「黒百合」を脚色した「妖星」初演される。

◆明治三十七年(一九〇四)
九月、本郷座九月興行のために書き下ろし戯曲「深沙大王」を執筆、「文藝倶楽部」十月号に掲載される(しかし長さの関係で「高野聖」と差し替えになる)。
九月二十二日、本郷座二番目狂言として「高野聖」初演される。この舞台は志賀直哉に酷評される。
十月、「時代思潮」に戯曲「隅田の橋姫」の連載を開始。しかし病気を理由に一回のみで中絶。「歌舞伎」に「本郷座の高野聖に就て」を寄稿。

◆明治三十九年(一九〇六)
一月、鏡花、「海異記」を「新小説」に、「月夜遊女」を「太陽」に発表。
八月一日、大阪朝日座の一番目狂言として「通夜物語」上演される。
九月一日から大阪朝日座の一番目狂言として「湯島詣」初演される。
十月、「歌舞伎」に、喜多村緑郎の演技評(本郷座「侠艶録」)を寄稿。
十一月~十二月、鏡花、「春昼」「春昼後刻」を「新小説」に発表。
十二月、春陽堂より初の書き下ろし戯曲『愛火』を刊行。

◆明治四十年(一九〇七)
一月三日より新富座で「つや物語」を上演。伊井蓉峰、福島清ら出演。連日の大入りとなる。
五月、登張竹風と共訳のハウプトマン原作戯曲「沈鐘」を「やまと新聞」に発表。
七月、本郷座の一番目狂言として「風流線」初演される。龍子役に喜多村緑郎。
九月六日より真砂座で「辰巳巷談」上演される。

◆明治四十一年(一九〇八)
四月、鏡花、「ロマンチックと自然主義」を「新潮」に小説。
八月、明治座の「みじか夜」が「湯島詣」の剽窃である旨、文壇と劇壇で物議を醸す。
九月二十九日より新富座一番目狂言として「婦系図」初演される。お蔦役に喜多村緑郎。不入りだったらしい。
七月十一日、泉鏡花ら、向島の有馬温泉で「化物会」開催(参会者は喜多村緑郎、伊井蓉峰、柳川春葉、神林周道、長谷川時雨ほか約五十名)。
七月二十五日、夏目漱石、「夢十夜」を「東京朝日新聞」に連載開始(八月五日完結)。

◆明治四十三年(一九一〇)
四月十日より本郷座一番目狂言として「白鷺」初演される。小篠役に喜多村緑郎。子役の花柳章太郎は、舞台稽古を見た鏡花に台詞を増やしてもらった。当時学生の久保田万太郎は、この上演を見ている。

◆明治四十四年(一九一一)
三月一日より宮戸座夜興行として「三味線堀」初演される。
十月、大阪中座で興行中の「婦系図」に出演している喜多村緑郎に招かれ、大阪に滞在。

◆明治四十五年/大正元年(一九一二)
二月十一日より明治座三番目狂言として「稽古扇」初演される。
五月三日より新富座二番目狂言として「南地心中」初演される。

◆大正二年(一九一三)
三月、「夜叉ケ池」を「演芸倶楽部」に発表。
五月、「狸囃子」(後に「陽炎座」と改題)を「新小説」に発表。
十一月一日、日暮里の旧佐竹邸で井上正夫主宰の野外劇場第一回試演として「紅玉」初演される。
十二月、「海神別荘」を「中央公論」に発表。

大正三年(一九一四)
四月七日、明治座二番目狂言として「深沙大王」初演される。
七月十二日、東京京橋のギャラリー画博堂で怪談会開催(岩村透、黒田清輝、岡田三郎助・八千代夫妻、辻永、長谷川時雨、柳川春葉、泉鏡花、市川左団次、市川猿之助、松本幸四郎、河合武雄、喜多村緑郎、吉井勇、長田秀雄・幹彦兄弟、谷崎潤一郎、岡本綺堂、鈴木鼓村ほか六十余名、会主は画博堂主人)。参会者の一人が田中河内介の話の途中で昏倒したとされる。
九月五日、明治座一番目狂言として「婦系図」上演される。

◆大正四年(一九一五)
三月四日、本郷座の一番目狂言として「日本橋」初演される。お孝役に喜多村緑郎。
十一月二十九日より新富座で、鏡花による新脚色の「錦染瀧白糸」初演される。

◆大正五年(一九一六)
七月、本郷座二番目狂言として「夜叉ケ池」初演される。

◆大正六年(一九一七)
三月、浅草公園の東京オペラ館で映画『新派悲劇 通夜物語』(小口忠監督)上映される。
五月、春陽堂より『戯曲日本橋』を刊行。
九月、「天守物語」を「新小説」に発表。

◆大正八年(一九一九)
七月四日、「都新聞」の掲載記事「怪談の会と人」(無署名だが平山蘆江の可能性高し)で、喜多村緑郎、鹿塩秋菊と共に「怪談三人男」として紹介される。
七月二十日、向島百花園横の料亭で開催された怪談会に、喜多村や花柳章太郎、福島清らと出席。

◆大正九年(一九二〇)
十二月、映画『葛飾砂子』(栗原喜三郎監督)が丸の内有楽座で上映される。

◆大正十年(一九二一)
三月、市村座で「婦系図」(久保田万太郎演出)が上演される。お蔦に喜多村緑郎、早瀬主税に伊井蓉峰。喜多村の依頼による久保田の鏡花劇演出は、これが初出。

◆大正十二年(一九二三)
六月、「山吹」を「女性改造」に発表。

◆大正十三年(一九二四)
十月三日、大阪白木屋の日本文芸講演会で「狂言のこと」と題して講演。他の講演者は、小山内薫、久保田万太郎、水上瀧太郎。

◆大正十五年/昭和元年(一九二六)
一月、「戦国新茶漬」を「女性」に発表。
八月、大阪角座の自由座公演で「唄立山心中一曲」を脚色した「晴衣」(宇田六平作)上演される。
十一月、花柳章太郎が金沢尾山倶楽部に出演するのに同行して帰郷、目細家で妹やゑと二十六年ぶりに再会。

◆昭和三年(一九二八)
一月二十八日、東京中央放送局で、喜多村らによるラジオ劇「日本橋」放送される。
三月二十七日、東京中央放送局で、喜多村らによるラジオ劇「稽古扇」放送される。
八月二十六日、東京中央放送局で、喜多村らによるラジオ劇「夜叉ケ池」放送される。百合に喜多村、萩原に伊井蓉峰、白雪姫に花柳章太郎。

◆昭和四年(一九二九)
二月、映画「日本橋」(溝口健二監督)、みやこ座、富士館で上映される。
三月、市村座三番目狂言として「通夜物語」(舞台監督は久保田万太郎、舞台装置は小村雪岱)上演される。鏡花は自ら脚本に筆を入れる熱意を示したという。
三月二十五日、東京中央放送局で、喜多村らによるラジオ劇「婦系図」放送される。
四月、「原作者の見た『日本橋』」を「映画時代」に発表。
五月、市村座二番目狂言として「婦系図」上演される。

◆昭和五年(一九三〇)
四月十三日、柳田國男と共に澁澤敬三邸新築記念祝賀会に出席し、三河の「花祭」の実演を見物する。
十一月二十九日、東京中央放送局で、喜多村らによるラジオ劇「海神別荘」放送される。公子に喜多村緑郎、沖の僧都に伊井蓉峰、女房に村田式部、博士に菊波正之助、美女に東山千栄子ほか。

◆昭和六年(一九三一)
三月、ビクターレコードより「瀧の白糸」の音盤が二種類発売される。歌手は四家文子、葭町勝太郎。

◆昭和八年(一九三三)
六月、浅草公園の電気館で映画「瀧の白糸」(溝口健二監督)上映される。入江たか子、岡田時彦ほか出演。

◆昭和九年(一九三四)
二月、浅草公園の帝国館で映画「婦系図」(野村芳亭監督)上映される。田中絹代ほか出演。
四月二十七日、東京中央放送局で、花柳章太郎一座によるラジオ劇「稽古扇」放送される。
七月、明治座一番目狂言として「稽古扇」上演される。鏡花も稽古に立ち合ったという。

◆昭和十年(一九三五)
一月、浅草公園の帝国館で「売食鴨南蛮」を脚色した映画「折鶴お千」(溝口健二監督)上映される。山田五十鈴ほか出演。
四月二十八日、東京放送局でラジオ劇「瀧の白糸」放送される。白糸に花柳章太郎。
十二月二十六日~二十八日、東京放送局で、連続ラジオ小説「歌行燈」放送される。

◆昭和十一年(一九三六)
一月、「お忍び」を「中央公論」に発表。
五月、明治座四番目狂言として「新版つや物語」(川口松太郎脚色、小村雪岱舞台装置)上演される。時局柄、原作の遊女が芸妓に、陸軍大佐が代議士に改変されたことに、久保田、水上らが強く反発したという。

◆昭和十二年(一九三七)
二月、浅草遊楽館で映画「瀧の白糸」(広瀬五郎監督)上映される。久松三津枝、志村喬ら出演。

◆昭和十三年(一九三八)
三月、明治座三番目狂言として「日本橋」(巌谷三一脚色、久保田万太郎演出)上演される。お孝に喜多村、お千世に花柳章太郎。
三月九日、日本橋西河岸の延命地蔵で、花柳章太郎の依頼による「お千世の額」(小村雪岱画)の献納供養おこなわれる。
七月、歌舞伎座四番目狂言として「湯島詣」(巌谷三一脚色、久保田万太郎演出)上演される。鏡花自ら脚本に加筆を施した。伊井蓉峰七回忌追善興行。

◆昭和十四年(一九三九)
七月、「縷紅新草」を「中央公論」に発表。
九月七日、泉鏡花逝去。

※年表作成にあたり、『新編 泉鏡花集』所載の諸資料、とりわけ吉田昌志氏編纂による「年譜」の多大な恩恵を被ったことを明記し、深謝いたします。
 

安田 これを拝見してたら、「高野聖」とか「婦系図」とか、かなり早い時期の作品なんですね。

 そうですね。文壇での評価を決定した作品はわりと早い時期に書かれていて、その後はまあ、悠然と「おばけずき」の本領を発揮していった感じ(笑)でしょうか。好きなものを好きなように書いて、世を渉り果せたというか。今日お配りした年表は、鏡花と戯曲との関わりを中心にまとめてみました。
 
 いちばん最初が「瀧の白糸」なんですけれど、これにはちょっとした因縁話があるんですよ。

 明治28年(1895)の12月4日から浅草の川上座で「瀧の白糸」が初演されたんですが、なんとこれ、原作者名のクレジットがなかった。つまり勝手に鏡花の「義血侠血」「予備兵」の筋を綯い交ぜて──どちらも鏡花の作品ですが、ただ「義血侠血」は尾崎紅葉が徹底して朱筆を入れた事実上の合作といってもいい作品なんですね。

 川上座は有名な川上音二郎、明治の新演劇の開拓者というべき人物が座長を務めていた劇団ですが、昔は権利関係にアバウトですから、無断で鏡花作品を上演してしまった。

 これに師匠の紅葉が激怒して猛抗議をする。それで当時の新聞各紙に謝罪告知が載ったという事件がありました。そんな曰くつきの芝居でしたが、皮肉なことに当たり狂言となって、その後も高田実という人がやってた成美団が東北各地を巡演したりしている。これが鏡花作品と戯曲との最初の関わりということになりました。

 その後、戯曲との関わりが本格化するのは、明治40年(1907)に新富座で「通夜物語」が上演されて、伊井蓉峰、福島清ら新派の主要な俳優が出演したのですが、これが大変な大入りとなり、劇場に入りきらない観客で長蛇の列ができたといいます。
 
 このあたりから、どうやら鏡花原作の芝居が、新派の当たり演目として注目されていったようです。

 もう一つのきっかけは明治36年、ちょうど尾崎紅葉が亡くなるのと前後する時期に、鏡花は喜多村緑郎という新派の若手俳優と知りあうんです。当時の喜多村は、さっき名前の出た大阪の成美団に参加していました。この人も実は大変なお化け好き(笑)。寄ると触ると怪談話をしたがるような人で、ですから当然、鏡花とは話が合っちゃったんですね。

 喜多村緑郎は後に新派を代表する大女形となって、例えば「婦系図」のお蔦とか「日本橋」のお孝、「白鷺」のお篠の霊とか……鏡花劇のヒロインたちを演じ続けることになります。

 喜多村との交友がひとつの機縁となって、鏡花は戯曲の世界に熱心に関わるようになります。明治の40年代から大正の前半くらいの時期ですね。この時期というのは、鏡花が怪談会──いわゆる百物語ですね、暗夜、一堂に会した人々が、まさにこの寺子屋みたいにね(笑)、オールナイトで順繰りに怪談を披露するという趣向の集まりが、江戸時代から伝統としてあったわけですけど、これが明治後半くらいから文学者の間で大流行するんですよ。それの中心になったのが鏡花と喜多村で、毎年夏になると怪談会を催して、「都新聞」に連載記事が載ったりしています(ちくま文庫『文豪怪談傑作選 鏡花百物語集』参照)。ちょうどその時期と、鏡花が戯曲を集中して書いていた時期は、完全にオーバーラップしてるんですね。

 「海神別荘」は大正2年(1913)に書かれるんですけども、その年にはもうひとつの代表作である「夜叉ケ池」も発表されていますし、「陽炎座」も──これは小説なんですけれども、やはりお芝居の話。鈴木清順監督の映画があったことを、ちょっと年配の皆さんなら記憶されてるかも知れません。

安田 鈴木清順監督の『陽炎座』、ご存知の方どのくらいいらっしゃいます?(数人の手があがる)あんまり年配の方でもないですよ(笑)。

 すみません(笑)。今はビデオやDVDでソフト化されて、観られるようになりましたが、とても妖しい、子供芝居の話で……舞台は墨田区の本所界隈、拙宅のすぐ近所です(笑)。

安田 映画の中では『竹生島』の謡がかすかに聞こえますね。能好きの人は喜ぶ(笑)。

 なるほど! だから本当に、「海神別荘」が書かれた大正2年前後というのは、鏡花が戯曲による幻想表現というか文学表現に傾倒しはじめた時期じゃないかと思うんですね。

▼『海神別荘』の上演は
やはり難しい

安田 ちょっと注釈をお願いしてもいいですか。新派という言葉があるんですけども、新派は「陽炎座」より知らない人がいるかもしれないので……。

 ああ。新派は今でもちゃんとあるのにねえ(苦笑)。とはいえ私も劇場で観ることは、めったにないのですが。これは新派劇、つまり歌舞伎に代表される旧劇や、芸術色・舶来色の濃厚な新劇とは一線を画しながら、もっぱら現代を舞台とする恋愛悲劇などをテーマとして発展した大衆演劇運動です。先に名前を挙げた川上音二郎らの新演劇に発して、明治中期以降は女形芸も取り入れて盛んになりました。花柳章太郎や水谷八重子の名前は御存知の方も多いかと思います。

安田 同時にプロレタリア演劇みたいなものができたり……。

 明治後半から大正の演劇界は、群雄割拠の渾沌とした時期ですよね。そうした渦中にあって、新派は大衆的な人情話や恋愛話に活路を求めた。鏡花の作品には、例えば芸者の心意気とか一途な思慕とか、そういう女性の粋とか意気地、はかなげな美や侠気を強調したようなお話も多いので、新派の題材として非常に相応しかったんですね。

 ですから、「海神別荘」にしても「夜叉ヶ池」や「天守物語」にしても、なかなかリアルタイムで上演の機会に恵まれなかったのは、要はそういうことだと思うんですね。つまり、人間ではなく妖怪変化が舞台の全面に、「海神別荘」に至っては、劇の世界自体が海底の、いわゆる龍宮城的な場所ですから、人間はまったくといっていいほど出てこない。そういう意味でも、新派の感覚では、どうやって演じたらいいの……という話ですよね。

安田 そうですよね。人情物が好きなお客さんの前ではやりづらい。

 やりづらいですね。まあ、妖怪戯曲三部作の中でも「天守物語」は若干ね、お城の天守閣に妖怪を統べる姫君がいて、妖怪たちにかしづかれている。そこに殿様の鷹が天守に迷い込んでしまい、それを追いかけて鷹匠の若侍がやってくるわけですよね。そこで天守夫人と、その若侍・図書之助とのラブ・ストーリーになるという、だからあれはギリギリ、新派的な悲劇のノリでもね、割といけるし(笑)、見どころもありますよね。

安田 動きも作りやすいし。

 そうですね。あと、さっきおっしゃった朱の盤とか舌長姥とかね、妖しい婆さんがべろべろ舌を伸ばして人間の生首をおいしそうに舐めるシーンとか(笑)、そういうお化けがいっぱい出てきて、それぞれに見せ場もある。天守閣の上から、女の童たちが釣糸を垂れて、野原の草花を釣り上げる冒頭の趣向とか……ああいうのは、まさに鏡花幻想の独擅場で。

安田 露で秋草を釣るというね。

 まあ、実際の舞台で観ると案外しょぼいんですけど(笑)。でも、鏡花のト書きで読むと、実に陶然たるシーンが彷彿とする。「天守」にはそういう見せ場があるんですけど、「海神別荘」はね、なかなか……。

▼『海神別荘』を上演するための工夫

安田 結局、鏡花の存命中には一度も上演されなかった。

 そういうことですね。それだけにやりづらい、って話を、この間も稽古の時にしましたけど、でもそれを安田さんがどう料理して、面白く見せようか、という演出の奇計がね、すごいな、さすがだな、と思いました。

安田 僕が関わる作品は毎回そうなのですが、料理というよりも、切り刻むだけ僕がやって、料理はおのおのの人に任せる、奥津さんに任せたりとか、奈々福さんに任せたり、美千香ちゃん(人形師)に任せたり、いろんな人に任せちゃう。

 例えば玉三郎的な正統的なアプローチだと、まあやらないだろうな、という感じの斬新な脚色になっていますね。

安田 この前の打ち合わせで、やっとどんな風になるかが最後まで見えましたね。やっと最後まで見えて、案外面白いと(笑)。

 皆さん御存知のように安田さん、「イナンナ」でも大忙しですし、他にもいろいろな活動で東奔西走されているので、奈々福さんが危機感を深めまして、私の所に「とにかく『海神別荘』に安田先生の注意を向けさせないと、3月の公演やばいですよ……」って真剣に相談されまして。で、二人がかりでいろいろね、どちらも昔取った杵柄で原稿の取り立ては得意技だから(笑)、ダブルで安田さんにせっついてですね、無事に脚本があがって、さらに細部を……。

安田 お二人とも敏腕編集者でしたから(笑)。でも、たとえば岩波版の『鏡花小説・戯曲選』の解説に「自分は鏡花の戯曲を実際に見てみたいと思わない」って、書いてあるんですよね。

 ありましたね、寺田透さんだったかな。

安田 それくらいやりづらい。

 結局、人間臭くなってしまうとまずい部分がありますからね。だから玉三郎による舞台が成功したのは、全盛期の玉三郎自体が、ちょっと人間とは思えないというか、この世のものならぬ美しさを湛えていたからだろうと。そういうモノノケ的に神がかった俳優が柱にいないと、なかなか難しいんだろうなという感じはありますね。

安田 今回こちらでは人形を使っていますね。

 そうなんですよね。百鬼ゆめひなさんの! ヒロインに人形を起用するというのは絶妙なアイデアであり、面白い試みになりますね。実際、鏡花には人形をテーマにした作品がけっこう多くてね、「神鑿」なんていう、女と人形が混淆されてしまう過激な人形幻想譚もありますし。その意味でも、原作の企図に叶ったアプローチになるんじゃないかと思います。

▼鏡花とフランス文学

安田 鏡花の戯曲って、読む分にはすごく面白いですね。「海神別荘」も読む分にはすごく面白いんですが……。

 戦前戦後、それこそ1960年代まで、鏡花といえば古くさい新派劇の原作者という位置づけが長らく続いていました。鏡花といえば「婦系図」や「日本橋」で、古風な人情話を書く人という、今では信じられないような認識だったのを一気に変えたのが、例えば三島由紀夫であり澁澤龍彦でした。
 
 この二人が、中央公論社版『日本の文学』の鏡花集の月報で「鏡花の魅力」と銘打つ対談をされて、三島さんは巻末解説も担当しています。そちらは鏡花再評価の起爆剤になった名解説で、私も『文豪怪談傑作選 三島由紀夫集』に収録していますけど、対談も実に啓発的な内容でした。

 その中で二人が、いちばん熱を入れて語っていたのが、鏡花戯曲の話なんです。こんなやりとりがありますよ。


三島 (略)鏡花は、あの当時の作家全般から比べると絵空事を書いているようでいて、なにか人間の真相を知っていた人だ、という気がしてしようがない。
 
澁澤 芝居の中には、そういうものが非常にナマで出ているんじゃないですか。

三島
 もう露骨に出ています。澁澤さんが「山吹」を褒めてくれたのは嬉しいな。僕は今まで「山吹」を読んでいる人に会ったことがないんだ。

澁澤
 「天守物語」とか、「山吹」とか、「戦国新茶漬」とか、「海神別荘」とか、「紅玉」とかみんなシュールレアリズムですね。結局、鏡花は理想主義者かなあ、天使主義者かなあ……ニヒリストじゃないでしょう。

三島
 ええ。ニヒリストの文学は、地獄へ連れて行くものか、天国へ連れて行くものかわからんが、鏡花はどこかへ連れていきます。日本の近代文学で、われわれを他界へ連れていってくれる文学というのはほかにない。文学ってそれにしか意味はないんじゃないですか。


 このおしまいのほうの三島さんの発言は、「海神別荘」のラストの台詞を意識したものですね、おそらく(笑)。こんなのをですね、生意気盛りの中学生が読んだら(私のことですが)、それはもう幻想文学の方へと一気に持っていかれちゃいますよ(笑)。

安田 澁澤といえばフランス文学ですが、前にツイートしたんですけど、マラルメを読んでいて。

 びっくりしました。いきなり鏡花の話題から飛び抜けて、マラルメのお話を、この間なさったので。

安田 鏡花との関係で、マラルメも「牧神(半獣神)の午後」を上演するつもりで書いて、でも、たぶん難解過ぎて上演されなかった。上演を拒否されましたね。鏡花の文章もすごく美しいんですが、声に出してしまうと、今のお客さんには理解できない言葉がずいぶん多い。

 多いですよね。朗読される方もよくおっしゃるんですけどね、鏡花の小説の朗読が難しいのは、そこなんですよね。耳で聞いただけでは、平成の現代人には厳しい。でも、当時の人もわからなかったんじゃないかっていう気もするんだけど(笑)、今となっては尚更ね、耳で聞いただけではよくわからない。そこの問題がありますよね。

安田 今回、僕達の上演に際しては、いろんな芸を入れていこうと思いまして。そう、大「芸尽くし」の上演にしようと思っています。それはやっぱり鏡花が能楽師の家系に属するということとも関係があるんです。能の中には「芸尽くし」がいっぱいあるんですね。
 
 いま能をみると「芸尽くし」には見えない。これは僕たちが昔のさまざまな芸をよく知らないからなのですが、しかし能の中にはそういう「芸尽くし」がいっぱい入っていて、昔の人は物語として能を楽しむだけでなく、そういう「芸尽くし」も楽しんだんじゃないかと思うのです。で、この「海神別荘」を読みなおしてみると、かなりあるんですよ、「芸尽くし」的な要素が。今回は、その「芸尽くし」の部分をちょっと拡大して上演してみようと思っています。

 今回の上演の特徴としては、まず泉鏡花役として東さんに出ていただいて、ト書きを読んでいただく。文字の映写と共に。文字の美しさ、きらきらした美しさを感じていただく。

 もう一つは「芸尽くし」を楽しんでいただく。その芸尽くしも、例えばリズムなんかは江戸時代のリズムではなく、中世的なリズムに戻しちゃおうと思ってるんです。

僕達が日本的なリズムだと思ってるのは、江戸時代的なリズムですね。

例えば、七五調の言葉がありますよね。七五調の言葉(12音)と8拍(16)の中に収めようとすると、例えば「もしもしかめよ~、かめさんよ~」と句の最後を伸ばして帳尻を合わせます。

ところが能では違うのです。これは流派にもよりますが、たとえばうちの流派の場合は…

「もーしもーしかめーよかめさんよ」となります。ちなみに最初の「もー」は半拍前から入ります。

※文字ですとわかりにくいですね(笑)

シンコペーションなのです。まあ、こんな感じのことも含めていろいろとやってみようと思うんです。

で、それで舞うのは奥津さんです。僕は今回見てるだけです(笑)。

<まだ続きます>

 『海神別荘』への道 010203
語りを考える(玉川奈々福)


▼『海神別荘』公演 ご予約の方法

日時:3月5日(土)14:30開場 15:00開演 
場所:亀戸・カメリアホール
(JR総武線で秋葉原から4駅8分「亀戸」駅下車 北口徒歩2分)

全席指定 予約5000円 当日5500円
※「てんらい会員」の方は1,000円引きになります。
「てんらい」の会については以下をご覧ください。

http://inanna.blog.jp/archives/1033520801.html 

ご予約の方法は3通りございます。

・カメリア・ホールに直接お申し込みいただく(てんらい割引はございませんのでご注意を!)
03-5626-2121 インターネット予約もございます。
http://www.kcf.or.jp/kameido/concert_detail_010500300307.html 

・てんらい事務局にご連絡いただく
てんらい会員の方は割引料金でご予約いただけますので、てんらい事務局、あるいは出演者の方にお申し込みくださいませ。
てんらい会員入場料:全席指定 予約4000円 当日4500円
event@inana.tokyo.jp
080-5520-1133(9時~20時)

・出演者にお申し込みいただく
チケットを扱っている出演者は、 東雅夫奥津健太郎玉川奈々福です。この3人に直接、お申し込みいただくこともできます(他に出演者にもお申し付けいただくことはできます)。

出演:安田登(能楽師ワキ方下掛宝生流)、槻宅聡(能楽師笛方森田流)、奥津健太郎(能楽師狂言方和泉流)、百鬼ゆめひな(人形師)、玉川奈々福(浪曲師)、蜜月稀葵(ダンサー)、新井光子(チェリスト)、東雅夫(作家) ほか

お待ち申し上げております。